「減農薬」に多量残留


国産食品の最大問題はネオニコチノイド系農薬でした。
ミツバチの被害から始まり、人への危険性が指摘され、
世界で規制が進んでいるのに、日本は増やしています。

5種類のネオニコチノイド系農薬が



 国産農作物は3年連続でネオニコチノイド系のジノテフランが一番多く検出され、 他のネオニコチノイド系農薬のアセタミプリド、イミダクロプリド、クロチアニジン、チアメトキサムも毎年、検出率の高い上位20品目に入っています。

 ジノテフランの検出率は11〜19%。最大値は2.6ppmで、収穫後に用いるポストハーベスト殺虫剤より多く残留しているケースがありました。
 ジノテフランは、稲や大豆だと収穫7日前まで、白菜、メロン、レタス、ホウレン草、キャベツは収穫3日前までですが、 アスパラガス、春菊、梨、柿、ブドウは収穫前日まで散布できるので、こんなに高い最大値になるのです。しかし、最大値がどの農作物だったかは、書かれていません。


毒性、残留性、浸透性が問題


 ネオニコチノイド系農薬は、脳に作用してヒトを凶暴にしたり、発達障害児を増加させたり、 免疫力を低下させて病気に罹りやすくしたり、生殖機能を低下させて少子化にすると、大きな社会問題にかかわっています。
 世界的に問題になっているのはミツバチを激減させたこと。根から吸収されて植物全体に移行し、花の蜜を吸ったミツバチが死んだり、神経が錯乱して巣に戻れなくなるのです。
 浸透しない農薬はリンゴに白い粉が残りますが、洗えば落ちるので、有害さのレベルが違います。

農林水産大臣賞が授与された


 日本で最初に登録されネオニコチノイド系農薬は1991年のイミダクロプリドで、「アドマイヤー」という商品名で発売されました。
それからもネオニコチノイド系農薬が開発され、日本では7種類が登録されています。
欧州では90年代からミツバチへの大量失踪事件が発生し、その影響が疑われて、フランス政府は1999年からネオニコチノイド系農薬の規制強化を始めました。
 ところが日本ではイミダクロプリドの開発者に2004年、農林水産大臣賞が授与されたのです。
農水省は、どれほど環境を軽視し、反消費者的であるのか、自分で証拠を残したわけです。

安心できない「もっと安心農産物」


 作物別の検査データがないので、ネオニコチノイド系農薬の使用実態を紹介します。
「もっと安心農産物」を推進しているJA千葉の、「越冬トマト」の防除暦では、農薬を61回散布することになっています。
そのうちネオニコチノイド系殺虫剤は「ベストガード」4 回、「モスビラン」3 回、「スタークル」3回で、計10回です。

 残留性の高いネオニコチノイド系農薬をこんなに多く使っているのです。 収穫の直前に使った農薬だけが多く残留しているわけではありません。
 もっと安心な農産物を望んでいる消費者に、JA千葉が「もっと安心生産グループ」を組織して、 危険性の高いネオニコチノイド系農薬を農家に販売して、「もっと安心農産物」が生産されているのです。

トマトに計67回散布


 詐欺に近いのは、かつての「減農薬」、今は「農薬:当地比5割減」です。
山梨県の特別栽培農産物の資料に、通常の散布回数が出ています。
施設栽培トマト67回(成分の散布回数)、施設栽培キュウリ57回、ナス34回、キャベツ26回、アスパラガス24回。
果物では、イチゴ40回、梨32回、リンゴ30回、桃27回、スモモ21回。
水稲は高冷地で18回、平坦地で14回。茶は14回。これを半分以下の回数にすると、特別栽培農産物に認められます。
トマト33回、キュウリ28回、イチゴ20回、梨16回、リンゴ15回、茶7回です。
こんなに散布されているのに、特別栽培農産物として、「農薬:当地比5割減」と表示することができるのです。

「農薬:当地比5割減」とは


「減農薬」農産物から、普通の農産物以上に農薬が検出され続けたので、2001年に「減農薬」という用語を禁止し、「特別栽培農産物」として農薬の使用回数を規制しました。 そのときに、残留性の高い農薬を排除しなかったので、ネオニコチノイド系農薬を作物に多く残留させて使用回数を減らしていた「減農薬」が、 そのまま「農薬:当地比5割減」に衣替えし、エコファーマーが用いました。 この詐欺のような制度によって、消費者はだまされ続けています。

加工食品・家畜・ペット・家庭・環境


 国産の農産物は安全性が高いと宣伝している間に、国産の加工食品からもアセタミプリドが6%、 イミダクロプリドが0.8%ほど検出されるようになっています。
 ヨーロッパはネオニコチノイド系農薬の規制を強化し始めたのに、
厚労省は、食品の残留基準を2015年に緩和し、有害農薬を事実上の野放しにしてしまいした。
ノミやダニの駆除、家庭でゴキブリなどの駆除、住宅建材などに広く使われるようになって、今は河川も汚染しています。

月刊誌『食品と暮らしの安全』2018年10月1日発行 No.354 掲載記事



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