ネオニコチノイド系農薬はやっぱり危険だった
欧州専門機関が再確認


ネオニコ系農薬は確かに蜂の神経を狂わせていた――。
欧州の公的機関がネオニコの毒性を再確認する報告書をまとめました。

懸念される環境、人への影響


 神経毒のネオニコチノイド(ネオニコ)系農薬は世界で最も使用量が多く、 世界各地で起きている蜜蜂の大量死や人の発達障害の原因と疑われるなど、自然環境や人の健康への影響が以前から懸念されていました。

 こうした中、欧州連合(EU)の行政執行機関である欧州委員会は2013年、欧州食品安全機関(EFSA)の助言を受け、 他国に先駆けてクロチアニジン、イミダクロプリド、チアメトキサムの3種類のネオニコ系農薬の使用を安全性が確認できるまで制限する暫定措置をとりました。
 EFSAはその直後、安全性の再確認作業に着手。世界各国の最新の研究成果を分析し続けた結果、 今年2月末、 ネオニコが蜜蜂の活動や生存にとってリスク要因であることが「確認できた」と発表しました。
 今回は、飼育されている蜜蜂だけではなく、野生のマルハナバチやハナバチについても調査。やはりネオニコの影響が確認できたとしています。 EFSAの発表を報じた英ガーディアン紙は、EU域内でネオニコの使用が今後、「全面禁止になる可能性が高い」と報じました。

 ただ、農薬業界などが激しいロビー活動を展開しており、欧州委員会が規制強化に踏み切るかどうかは不透明です。 5月後半に、規制強化するか否かの投票を行う可能性があるとの報道もあります。
 いずれにせよ、今回のEFSAの調査で、ネオニコが非常に危険な農薬であることは、ほぼゆるぎない事実となりました。

 ネオニコの影響は、自然界だけではありません。農作物に残留したネオニコが食事を通じて人の体内に入り込み、 子どもの神経の発達を阻害するなど人の健康を害する可能性があるとの研究報告も多数あります。

 日本で大きな社会問題となっている子どもの発達障害の原因の一つに、ネオニコの大量摂取を指摘する専門家もいます。
 EU以外にも、韓国や米国、台湾など、ネオニコの使用規制に踏み切る国や地域は世界的に増えています。

世界の流れに逆行する日本


 一方、日本では、農作物やガーデニング用の殺虫剤として大量に流通しているのに、 今のところ海外のような厳しい使用規制を導入する動きはありません。
 逆に、2011年にイミダクロプリド、2015年にクロチアニジン、アセタミプリドの一部農産物に対する残留基準が緩和されるなど、使用を後押しする流れになっています。

 一般の消費者は、自分が買おうとしている農産物にネオニコが使われているかどうか知る術がありません。使用農薬に関する情報が開示されていない現状では、 ネオニコによる健康被害を避けるなら、有機認証付きなど農薬不使用をうたう農産物を購入するのが賢明です。

月刊誌『食品と暮らしの安全』2018年5月1日発行 No.349 掲載記事



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