代表小若順一が月刊誌に連載していた「安全基金の活動と考え方」です。
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核抑止力も原発も捨てる 安全基金の活動と考え方(93)

食品と暮らしの安全基金代表 小若順一


 「核兵器の非人道性に関する声明」への署名を、この3月に日本政府が拒否。
 これを長崎「原爆の日」に田上富久・長崎市長が取り上げました。

 「日本政府は署名せず、世界の期待を裏切りました。人類はいかなる状況に置いても核兵器を使うべきでない、 という文言が受け入れられないとすれば、核兵器の使用を状況によっては認めるという姿勢を日本政府は示したことになります」と、 長崎平和宣言で述べたのです。

 核拡散防止条約(NPT)再検討会議の準備委員会は、昨年も声明を出していますが、
日本政府は検討時間が少ないとして、やはり拒否していました。
 2年連続の拒否なので、核兵器を使うべきでないと主張する国から、日本は批判されるようになっているのです。
日本は、核兵器の廃絶を求めながら、アメリカの核兵器の使用を認め、核抑止力としてきました。その矛盾が表面化したのです。

 広島市の平和宣言は、現実的な呼びかけに聞こえます。
「世界の為政者の皆さん、いつまで、疑心暗鬼に陥っているのですか。威嚇によって国の安全を守り続けることができると思っているのですか。 広島を訪れ、被爆者の思いに接し、過去にとらわれず人類の未来を見据えて、信頼と対話に基づく安全保障体制への転換を決断すべきではないですか」
 これを、核兵器の使用を認めない市長が言うなら説得力があります。
しかし、松井一實広島市長は、NPT再検討の準備委員会に出席したのに、署名を拒否した政府に抗議しなかったと報道されています。
これを知れば、外国の為政者から「広島の茶番劇」と言われるでしょう。

 核抑止力と、核廃絶に明確な道筋を示したのが、7月10日付の朝日新聞です。
「核兵器は極めてむごい兵器であるために使えず、軍事的には無用な存在だ」
「北朝鮮の核の脅威には核兵器を使う必要はなく、強力な通常兵力で抑止力は足りる」と、
米国務長官を務めたコリン・パウエル氏が語った記事を載せているのです。
 核武装容認の世論形成を図る読売新聞とは、対極の報道です。

 日本は、通常兵器だけで国を守ると、決意する必要があります。
では、国を守りながら、どうやって核抑止力をなくしていけばいいのでしょうか。
 それは、パウエル氏を日本の国防顧問に迎え、核を使わない国防政策を立案すればいいわけです。
こうすれば、自衛隊出身の核武装論者も、太刀打ちできません。
 加えて、国防で最大の弱点になっている原発をすみやかに廃止することです。
 原発は上からの攻撃に弱いので、精密誘導ミサイルで攻撃されたら確実に爆発します。 核燃料再処理施設、ウラン濃縮工場、もんじゅにも同様の弱点があるので、これらを廃止すれば、税金の無駄遣いが消えます。

 中国には、80基を目指して建設中の原発が国防の弱点になることを認識させ、原発建設と核兵器の増加に歯止めをかけながら、友好を模索すべきです。


2013年9月1日発行 No.293より

安全基金の活動と考え方(94)「私の痛みは放射能で」

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