代表小若順一が「安全基金の活動と考え方」を月刊誌『食品と暮らしの安全』に連載中!
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福島で被害を出さないために 安全基金の活動と考え方(80)

食品と暮らしの安全基金代表 小若順一


 日本とウクライナの原子力災害に関する協定が5月30日に発効。
チェルノブイリ原発事故によって起きた低レベルの被曝が、人間と環境にどのような影響を与えたかの情報を日本が受け取り、 研究者や専門家の交流を行って、共同セミナーのような行事も開催することになりました。
 これで、福島県民は放射能の被害から救われるようになると考えられています。 しかし、この協定は、福島県で被害者を増やす役割を果たすことになります。
 どうして、被害者を増やすのでしょうか。

 ウクライナの田舎では、大変な被害が出ています。ところが、経済的に豊かでないので、死ぬリスクが明らかな病気にならないと医療を受けられないし、受けないのが実態です。 つまり、今すぐ死にそうではない健康障害の情報はほとんど得られません。
これが「汚染のひどいウクライナでは、健康被害が出ていない」と言い換えられ、福島県で健康障害が出たときに、切り捨てる根拠として使われることになります。

 チェルノブイリの近くで内部被曝した人の情報が得られるので、私たちも現地調査を行っています。
被曝者が差別に苦しむのは、どこの国も同じで、遺伝的な被害の調査は積極的には行われません。 それで、遺伝的な被害を明らかにするため、3月に現地調査を行いました。
 ウクライナでの被害に関しては、昨年8月にNHKが、チェルノブイリ原発から60kmほど離れたナロジチという町で、悲惨な被害が出ていることを明らかにしていました。
ここでとれたキノコは11万6,000ベクレル/s、食事が最高2万ベクレルですから、被害が出るのは当たり前。誰からも異論は出ません。これこそがNHK的な報道です。
 実は、ナロジチは1990年ごろから有名なホットスポットで、これほど高レベルの汚染地に、日本では人が住んでいません。 ですから、そこの調査結果を報道すると、衝撃的な映像にすることはできますが、福島に有益な情報はあまり得られないのです。
 福島市や郡山市ぐらいの線量の地域で、健康影響が出るのか出ないのか、私たちは、そこが知りたいので、原発からナロジチの2倍以上離れた地区に行きました。
そこで空間線量を測定すると、国際的に「健康影響がない」とされている年間1ミリシーベルトとまったく同じで、毎時0.115マイクロシーベルトでした。
 郡山市の5分の1の線量なのに、自給的な食生活をしている家庭の子どもの多くに健康障害が起きていたのです。
その一部は遺伝的な被害かもしれませんが、低線量の地域で多くの子どもに健康障害が出ていたのは、重大な発見です。 このまま福島で農業を復活させていった後で、子どもに健康障害が起きたら、福島の農業は、また重大なダメージを受けます。

 そこで7月6日、農林水産大臣に会って、私たちの報告を検証してほしいと申し入れました。
厚生労働省には、私たちの調査の検証だけでなく、ウクライナで本格的な健康被害の調査をしてほしいので、大臣に面会を申し込んでいます。これは、まだ実現していません。


2012年8月1日発行 No.280より

安全基金の活動と考え方(81)「一次エネルギーを安い天然ガスに」

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