代表小若順一が「安全基金の活動と考え方」を月刊誌『食品と暮らしの安全』に連載中!
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自由貿易の弊害を防ぐチャンス 安全基金の活動と考え方(132)

食品と暮らしの安全基金代表 小若順一


 アメリカ第一主義を掲げるドナルド・トランプ氏が、来年アメリカ大統領になります。
 国際秩序が混乱し、日本は、安全保障と貿易で大きな影響を受けることでしょう。 トランプ氏は雇用を増やすため、TPPから撤退し、中国や日本に対して保護貿易を強化すると言っています。
世界の先進国は、無関税の自由貿易を目指していましたが、トランプ大統領の影響を受けて、保護貿易の割合を高めるでしょう。

 これは、悪いことではありません。
 槌田敦先生の貿易理論によれば、自由貿易では、貿易商≒多国籍企業だけが儲かります。 国の枠を超えて貿易する企業だけが儲けて、他はどんどん貧しくなるという構図です。
 今はこれにネットの勝者が加わりました。ネットは国の枠を超えた貿易商の一部なので、槌田貿易理論の正しさは変わりません。
 自由貿易で経済を拡大すれば豊かになると信じられてきましたが、事実は違いました。 アメリカは中間層の多くが没落し、一握りの大金持ちと、多くの貧しい人たちになりつつあります。これが、トランプ大統領が誕生した背景に存在する事実です。
 難民が世界の大問題になっていますが、それは自由貿易の結果、貧しい国がより貧しくなり、世界各地で紛争が起きた結果ともいえます。 紛争を起きなくするには、貧しい国を豊かにしていくことが重要です。そうしないと、紛争は起こり続け、難民の流出で世界中に混乱が広がっていきます。

 槌田貿易理論による経済面での解決策は、貿易を減らさない範囲で、輸出入に最大関税を掛ける「最適関税制度」です。
 日本は、関税ゼロの自由貿易と、天下り役人の職場をつくる管理貿易が併存しています。
 コメの場合は、輸入米の関税を280%にして輸入を止めておきながら、ミニマムアクセスとして毎年77万トンのコメを輸入しています。この官僚OBに稼がせる制度で不祥事が起きています。 それよりも、輸入関税だけにして、関税率をこまめに動かして輸入量を調整する方が、公正であることは明らかです。

 貧しい国を豊かにするのは輸出関税です。貧しい国を豊かにしていくのは難しくないことは、ウクライナで体験しています。
 ロシアとの東部紛争で急に貧しくなり、キエフのような大都会でも月収は2万円ほど。私たちが支援と調査を行っている田舎では、月収が1人5千円ほどになっています。 自給畑で生きてはいけますが、日本なら餓死者が続出するほど経済が落ち込んでいます。今は20倍の所得格差があるので、 私たちが持ち込むお金は20倍の価値になり、それで日本プロジェクトは機能しています。
 これを貿易に当てはめれば、安い鉄鋼、機械、穀物を輸出しているので、ここに20%の関を掛けても、豊かな国からみると1〜2%高くなるだけ。為替差より少ない金額でしかありません。 だから、貿易が減らない範囲で、最も高い「輸出関税」をかけて、国を豊かにしていけばいいのです。

 トランプ大統領の誕生を、無関税の自由貿易の弊害を考える機会にしたいものです。


2016年12月1日発行 No.332より

安全基金の活動と考え方(133)『満足感・充実感のある酒を』

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