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遺伝子操作食品
意味がない都の検討会

国内での遺伝子操作作物栽培に対応するため各自治体がガイドライン作成を始めました。
東京都の検討委員会に参加しましたが 「いったいなんだったのだろう」と思わざるを得ない内容でした。

各地で始まるガイドライン作り

 「隣の農家が遺伝子操作作物を今年から栽培しようとしている」という事態が起きたら、どうしたらよいでしょう。

遺伝子操作作物が栽培されれば、風評被害で近隣の農作物も価格が下がり、他の作物に交雑や、混入が起きる可能性があります。有機農業ができなくなる地域もあるでしょう。しかし、多くの自治体は遺伝子操作作物の栽培規制どころか、届け出制度さえ持っていません。

北海道で遺伝子操作作物を栽培したいという農家が現れたことで、北海道、岩手、茨城、滋賀などでガイドライン作りが進められています。

東京でも、「遺伝子組換え作物の栽培に関する検討委員会」が始まりました。安全基金が、このような検討会に呼ばれることは少ないのですが、今回は消費者委員として参加してきました。

委員を無視した検討会

検討会は、1〜3月に3回行われ、委員は自然科学者2名、社会科学者1名、農業者1名、農業団体1名、そして消費者団体1名の合計6名でした。事務局は都の職員がつとめています。

たびたび、検討会の日程が変更されたことにも驚きましたが、一番驚いたのは、3月23日の最終回です。

事前にメールで配布されていた報告書案を検討して臨んだところ、当日、その報告書案は回収され、箇条書きの骨子が配り直されたのです。理由も明確にされないまま、事務局が話し合いを進めようとするので、尋ねると「文章化するといろいろな意見が出るため」とのこと。

この骨子は、委員が過去2回話し合ってきた内容の多くが織り込まれておらず、委員会設置前に作られたものではと、思うほどでした。

結局、最終回では、骨子を修正しただけで、最終的な報告書は事務局と座長に任せるということで終わりました。私は、報告書案で修正して欲しい点を、検討会後にメールで送付しましたが、どこまで反映されるかは全くわかりません。この検討会って、いったいなんだったのだろうと、頭をひねるばかりでした。

これまでコーデックス会議に参加してきて、その民主的な運営方法に慣れていたので、日本の非民主的な検討会にはあきれるばかりでした。コーデックス事務局は、話し合いの方向性に口を出すことはなく、円滑に運営する手助けに徹しています。主体はあくまで政府代表と参加NGOです。このようなやりかたでなければ、参加する意味がありません。事務局が流れをさえぎって、説明以外にたびたび意見を差し挟んだり、勝手に報告書を書くなら、最初から、事務局が全てやれば良いのです。

おそらく、日本政府の行う検討会は、このように形ばかりのものがほとんどなのでしょう。声を上げない委員にも問題があります。批判すると、二度と検討会に呼ばれないからと、遠慮しているのでしょうが、声をあげて改善していくことが必要です。(熊澤)

議事録などはこちらで公開されています
http://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.jp/norin/




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