「食品添加物の一日摂取量調査」で国が1998年に買い集めた市販食品の検査では、鉄の摂取量は推奨量を超えていました。
ところが、2010年から本誌が検査を始めると、鉄は少なくて、市販食品を食べると推奨量を下回る量になっていたのです。
減った第1の理由は、調理器具が、鉄からステンレスに変わったこと。家庭や食品工場で調理中に鉄は増えなくなりました。
食品工場では、昔から金属の異物混入を防ぐため、食品が動く工程に、磁石が取り付けられていました。
食品の粉末はかき混ぜながら、液体や水は、管の中を流れているとき、磁石に異物の鉄片をくっ付けます。

鉄除去機を取り付けて数年経つと、もっと微細な鉄を取り除こうとか、異物混入のリスクをもっと減らそうと提案して、磁石を超強力にしたり、取り付ける磁石の数を増やしたりしました。

水道水は、道路の中に敷かれた鋼鉄管を通って来るので、鋼鉄管から出る見えないさびから鉄を摂れていました。
ところが調理の最後に使う水から「赤水を取り除く」として、今は極微細な鉄さび粒子を取り除くフィルターが付けられるようになっています。
こうして食品工場では、食材や水が動く所に、鉄を除去する装置が次々に取り付けられ、市販食品に含まれる鉄は減る一方になっているのです。
基準以上に鉄を摂れる食品
市販食品1食分で、1日の推奨量の3分の1を超える食品は少ししかありません。
レバニラ炒め、ビーフシチューオムライス、十割蕎麦、居酒屋のコース料理、フルーツ・グラノーラぐらいです。
ヒジキは鉄が多かったのですが、鉄釜からステンレス釜に切り替えたので、鉄が減りました。100g入りのヒジキ煮を1袋、丸ごと食べると、鉄が1日の推奨量の3分の1ぐらい摂れる食品になっているのです。
だから、栄養をウリにした「完全メシ」や、小魚を丸ごと食べている人や、安すたの天然だしを食べている人以外には、鉄を推奨量以上に摂取している人は少ししかいません。