戦艦を使って武力攻撃してはいけないのは、当たり前のこと。この「台湾有事」高市発言から、間もなく3ヵ月が過ぎようとしています。
中国の威嚇は激しく、短い期間で日本人の中国観を大きく変えています。

半世紀前の約束
中国観の変化を考えるとき、まず思い起こしたいのが1972年の日中国交回復です。
両国は共同声明で永久の不戦を謳い、対等の関係で協力し合うことを誓いました。
ところが、日中双方が領土問題を棚上げすると誓った8年後の1978年、中国は武装した100隻以上の漁船で尖閣諸島を囲む領海侵犯をしました。
日本が異議を唱えると、当時の最高指導者の鄧小平は「このような事態は二度と起こさない」と誓い、「日中平和友好条約」が結ばれました。
しかし、平安は長く続きませんでした。南シナ海に浮かぶ岩礁や小島を中国が領土に組み込もうと、勝手に領海を線引きし、支配地域を拡げたのです。
2010年には海上保安庁艇に漁船が自分から激突した「中国漁船拿捕事件」が起こりました。
その後も中国海警や人民解放軍の艦艇、潜水艇、空母、戦闘機による侵犯が毎日のように続いています。
これらのことから、日中関係の悪化は、常に中国側の一方的な事情で始まっていると判断すべきでしょう。
ともあれ、日中国交が回復してから、半世紀が過ぎました。日中関係の評価は立場によって変わるでしょうが、ハッキリしていることは「日本は、中国の圧力に常に屈してきた」ことです。
鄧小平の市場開放で、先駆けて中国に進出した伊藤忠商事で社長、会長、北京で日本大使を務めて、昨年12月に亡くなった丹波宇一郎氏は、役員時代に「日本は中国の属国として生きていけばいい」と発言しています。
ともあれ、日本は外交からメディア、経済界にいたるまで、中国に対しては小心翼々で、中国を喜ばせることを優先して来たのです。
諫める人がいなくなった
「高市発言」に対して中国は、未だに 「発言の撤回」を執拗に繰り返し、嫌がらせは止まりません。でも、国会の質疑応答で飛び出した首相発言への「撤回要求」は内政干渉で、ありえない要求なのです。
ですが中国は、国際的なルール違反である内政干渉を日本にしていることを、爪の垢ほども悪いと思っていません。
ここで、思い出したのが、300年を超えて栄えた「唐王朝」に生れた「官職」の、「諫議大夫(かんぎたいふ)」です。
皇帝が間違ったときに、その過失をいさめ、あるべき政治の姿勢について意見を述べるのを仕事にした役職です。
しかし、革命によって王朝文化の良き伝統は消滅しました。
しかも、毛沢東独裁の過ちを知り尽くしている習近平自身が神様に成り上がり、昔からの側近や配下が諫めると、次々に粛清しているのです。それで、習主席に異議を唱える高官がいなくなっています。
残された官僚は神様に忖度して、あの手この手で日本に圧力をかけてくるのです。新年の1月6日には中国商務省が最後通牒ともいえる「輸出管理強化措置」を発表しました。
その内容は、「言動で中国に不利益をもたらした国への輸出は、審査基準を最高レベルに引き上げる」というものです。
「輸出管理の厳格化」が名目ですが、実際は日本が狙いなので、レアアースを必需品とする経済界に衝撃が走りました。外務相はすぐ中国政府に抗議しましたが、暖簾に腕押しです。
メディアも政治家も頼りにならない
そこで、メディアと政治家に期待したいのですが、それが頼りになりません。高市首相の「台湾有事」発言で中国が怒りの声を上げると、一部野党は中国側に立ったとしか思われない勢いで高市首相を責め立てました。
さらに、産経新聞を除く大手メディアが、中国政府に誤解され、怒らす発言は日本経済に打撃を与えると、負の側面を強調して伝え、中には暗に発言の撤回を考えるべきだとした報道もありました。
長年、政治家として日中友好活動に尽くしてきたことを誇る長老議員が新年の財界3団体の賀詞交換会で「日中関係に間違いがあるなら、一日も早く戻すべきです」と発言したと聞いて、驚愕しました。
日本は中国に責め立てられると、中国が間違っていても反撃せず、自ら修正してしまうのです。
メディアを含めたこうした発言は驚きを通り超して、怒りが湧いてきます。
中国の不義を糺さない
国の好き嫌いをメディアが世論調査すると、嫌いのトップを占めるのが、最近はダントツで中国です。
20~30代の若い世代が高市首相を高く評価しており、日本の政治を変革させるほどのパワーを発揮しています。
野党ばかりか、メディアまでもが「中国の顔色を伺う」ことに反発しているように見えます。
トランプ大統領が空母を台湾沖に派遣しても、中国は反発しませんでした。
武力攻撃はいけないという高市発言に反発する中国が悪いのは、当たり前のこと。
若い世代は、老世代の小心すぎる中国観はダメだと、反発しているのです。