危機意識足りない石破内閣
鳥インフルエンザは近年、日本各地の養鶏場で多発し、年間、何百万羽という数の鶏が殺処分になり、卵が品薄になって値段が高騰し、大きな問題になっています。
2024年度のシーズンの発生状況は、農林水産省によると、2025年1月19日時点で、14道県39件の事例が確認され、約693万羽が殺処分の対象となりました。
鳥インフルエンザは正式には「高病原性鳥インフルエンザ」とい言います。高病原性とは難解な日本語ですが、要は、ウイルスなどの病原体に感染症を引き起こす性質があり、その程度が高いという意味です。
一方、鳥インフルエンザとは、A 型インフルエンザウイルスによる鳥の感染症を指します。人やその他の動物に感染した場合も、鳥インフルエンザと呼びます。
渡り鳥など野鳥が持ち込むだけに、今のところ有効な対策は見つかっていません。
しかし、海外ではもっと憂慮すべきことが起きています。鳥から家畜、家畜から人への感染が相次いで確認され、感染者が死亡する例も報告されています。さらには、人から人へ感染する可能性も懸念される事態になっています。
石破内閣は危機意識が欠如しているのか、首相官邸のホームページには鳥インフルエンザに関する次のような悠長な説明がいまだに出ています。
「鳥インフルエンザウイルスは、文字通り鳥が感染するインフルエンザウイルスであり、通常、ヒトに感染することはありません。しかしながら、感染した鳥に濃厚接触をした場合には、きわめて稀にヒトが鳥インフルエンザウイルスに感染することがあります」自分や家族の健康を守るには、政府の情
報は鵜吞みにしない、時には疑ってかかるというクセを身に着けることが大切です。
哺乳類に感染拡大
では、海外では実際に何が起きているのか、見てみましょう。
アメリカでは2024年3月、H5N1型と呼ぶ強毒の鳥インフルエンザの乳牛への感染が、世界で初めて確認されました。野鳥からの感染と考えられています。
2025年3月21日現在、17州989カ所の農場で感染が確認されています。
2024年秋には、オレゴン州の農場で飼われていた豚がH5N1型に感染したと農務省が発表しました。
2025年3月、イギリスのヨークシャー地方の農場で飼われていた1頭の羊から、世界で初めてH5N1型ウイルスが確認されました。
この羊は殺処分されました。
鳥インフルエンザはペットにも感染します。
報道によると、アメリカでは2022年以降、猫の感染例が80件以上報告されています。そのうち30件以上が、2024年12月以降の報告で、最近になって感染が増えていることがわかります。
猫の感染は従来、酪農場で飼われていた猫が生乳を飲んで感染するというケースが主でしたが、2024年12月に飼い猫が感染して死んだケースは、七面鳥の肉を使った冷凍生食ペットフードを食べたことが原因でした。
哺乳類が食べ物を通じて鳥インフルエンザに感染することが確認されたということは、例えば人間が鳥インフルエンザにかかった動物の肉を食べたら、感染する可能性があることを示唆しています。
家庭で生肉を調理したり食べたりする時は十分な注意が必要です。
アメリカで患者が重症化し、死亡
アメリカでは、哺乳類への感染事例が報告され始めたのとほぼ同時に、人への感染事例も報告され始めています。
人への感染は2024年4月に初めて報告され、政府の疾病対策センター(CDC)によると、それ以来、少なくとも66人の感染事例が報告されています。そのほとんどは、鶏や牛と濃厚接触した農場関係者でした。
CDC は2024年12月、ルイジアナ州でアメリカ初となる鳥インフルエンザの重症患者が確認されたと発表しましたが、同州の保健当局は2025年1月6日、この患者が死亡したと発表しました。
患者は、自宅の裏庭で鳥を飼育していて、病気にかかった鳥や死んだ鳥に接触していました。また、患者は65歳以上で、重度の呼吸器疾患を抱えていたと保健当局は明らかにしました。
鳥インフルエンザによる死亡例は、世界全体では数百件報告されていますが、アメリカでは初です。先進国でも安心できないことを示しています。
気になるのは、当局による遺伝子分析の結果、鳥インフルエンザウイルスがこの患者の体内で変異した可能性があることです。
変異によって、症状が重篤化した可能性があると当局は述べています。
これまでに報告された人への感染例66件はいずれも症状は軽いものでした。ルイジアナ州の報告は、今後、重篤患者が増える可能性を示唆しています。
人から人へは時間の問題?
しかし、一番怖いのは人から人への感染です。動物との接触を避けることは、その気になれば比較的簡単ですが、人同士の接触を一切絶つことはなかなか難しく、それゆえ人間社会の中で感染が容易に拡大することは、新型コロナウイルスのパンデミックで証明済みです。
CDC は「今のところ人から人への感染リスクは低い」としていますが、ウイルスが変異して人同士の感染リスクが高まる可能性は十分あります。
新型コロナを教訓に、ワクチンの準備など早急な備えと対策が必要です。
