現地からの中国事情

現地からの中国事情
犯罪に怒りを忘れた日本人

靖国神社の石碑に落書と放尿をされ、戦闘機で領空侵犯されても、日本の関係機関の責任者と政治家は「遺憾」と語るだけ。実に情けない国に成り下がっています。

 最近、目立つのが、普通の中国人から中国政府まで、不誠実な行為が続いていることです。
 5月31日に靖国神社の石柱に赤ペンキで「Toile(t トイレ)」と落書きをし、放尿までした人物は「靖国神社を侮辱する動画を流せば、注目され、カネ儲けができる」という動機だったと釈明しています。
 残念なことに、日本にはこのような犯罪者を受け入れるような不手際が起る構造的体質が続いていたのです。
 犯行翌日の6月1日に、当人は中国に戻ったのですが、8月27日になって浙江省杭州市の公安局が犯人の董光明を「取り調べている」
と発表しました。
 ただし、容疑は靖国問題ではなく、仲間と共謀して起こした恐喝事件でした。

重犯罪者の入国を見逃す入管

 詳細は解りませんが、董光明は相当の悪だったようで、中国で度重ねて犯罪を起こし、2015年には賭博場開設の罪で3年の刑を受け刑務所に送り込まれているので、本来なら日本に入国することは不可能な人物です。
 入管法では、「1年以上の懲役または禁錮刑に相当する刑を受けた者は上陸させない」となっています。
 ところが、度重なる犯罪で生活に困った薫は、日本を侮辱した映像をネットに載せれば注目され、カネが入ると考えて日本を目指したら、入管は簡単に入国を認めたのです。
 納得し難いことですが、この事実は入管が入国審査に本気で取り組んでいなかったから起こった事件です。
 入管が、怪しい人物を入国させまいと、ごく普通に犯罪情報に関心を寄せていたら、中国は裁判記録を公開しているので「入国させるべきか否か」簡単に答えを発見できたはずです。
 果たして、入管は本気で悪質な犯罪者を見つけ出す努力しているのでしょうか。疑問に思えて仕方がありません。
 董のような犯罪歴のある人物の入国を許したことは、職務怠慢そのものです。
 つまり、この事件は法務省が招いた事件と言ってもいいのです。

入管以上に問題なNHK

 入管以上に、許せないのが、これを伝えたNHKの中国スタッフに対する対応です。
 8月19日未明に、同じ場所へ「厕所(便所)」と落書きした中国人は靖国神社の石碑に放尿して日本を最大に侮辱した董の行為を「英雄的行動」と認識した模倣犯です。
 同日、この犯行を報道していたNHK の中国人スタッフが原稿にない「釣魚島(尖閣諸島)は中国領土」や「南京大虐殺を忘れるな」などと報道して問題になりました。
 これを公にしたNHK自身は、初めは「ベテランスタッフが失敗をやらかした」程度の問題として処理する腹だったのか、発表は一部分だけでした。それが、時間を追うように「慰安婦は性奴隷」とか「南京大虐殺」などの過去の問題発言を次々に明らかにしたのです。

22年も反日思想を隠したスタッフ

 驚いたのは、問題発言を重ねた中国人スタッフの胡越は日本の大学で学んだ後、NHKで22年もの間、優秀な評価を受けていたことです。反日感情を秘めていたわけです。
 日に日に過去の発言が明かされる事態に恐れをなし、発覚から数日で中国に逃げ帰った胡は水を得た魚のように、中国のSNSで強烈な反日思想をにじませた発信をし続けていると伝えられています。
 さらに驚くことがあります。
 番組乗っ取りというNHK 開局以来の大事件だったので、NHK の稲葉会長は「可能な限り原因究明する」と発言し、「損害賠償請求と刑事告訴を検討する」とさえ宣言しました。
 ところが、本人は悠々と帰国したのです。
 これは、実におかしいことです。本気で原因究明を求め、刑事告訴を考えたなら、本人が帰国できないようにパスポートを預かるなり、入管に出国停止の手続きをすべきでした。何の対応もしなかったことは、実に大甘です。
 このことはNHK だけの問題でなく、日本の政府機関、企業、個人にも当てはまります。
 日本企業や公共の研究機関、大学には、多くの優秀な中国人スタッフが働いています。彼らの中には、反日感情を隠していて、心は中国に向いている人もいるでしょう。
 たとえば、日本の大学には「中国人留学生の会」がありますが、会の責任者は活動状況を必ず中国大使館に報告していると伝えられています。
 日本には、経営者ビザを取得して自営業を名乗る中国人が約2万名近く存在しています。彼らは年末年始や国慶節に合わせて盛大なパーティを開きますが、そこには、中国共産党の関係者が必ず出席しているのです。
 甘い対応を日本の組織が続けていたら第二、第三の胡が次々に出てくるに違いありません。

最も警戒心が欠落した政治家

 警戒心が欠落しているのが、自民党の総裁選に立候補した議員です。
 8月26日、中国軍機が日本の領空を侵犯しました。翌27日、上川陽子外相が「毅然と対応すべき」、林芳正官房長官は「厳重な抗議をする」と発言しました。
 ところが、総裁選に立候補した議員の反応は鈍く、人気ナンバーワンの小泉進次郎元環境相はコメントすらしなかったのです。
 これでは、反日の中国人に貶められるのも当然です。