代表小若順一が月刊誌に連載していた「安全基金の活動と考え方」です。
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頭痛・めまいが軽くなった 安全基金の活動と考え方(85)

食品と暮らしの安全基金代表 小若順一


 健康な子どもは6%しかいないと、ウクライナ政府報告書に掲載されています。
 ところが、ウクライナで会った放射線防護の研究者は、子どもに元気がないのは、 家でゲームをするようになったのと、食事のタンパクとヨウ素が少ない「栄養失調」で、放射線の影響は不明だと言うのです。
 首都のキエフには、見上げねばならない高身長の女性がたくさんいて、田舎では太った女性がたくさんいたので、 栄養失調の人は少なく、放射線関連の研究者には健康障害を過小評価する傾向がありました。
 研究者からもらった『チェルノブイリ事故の健康影響』という分厚い報告書(2011年刊)は、 巻頭文を山下俊一長崎大学教授が書いていたので、日本が研究資金を出しています。
 外務省のホームページには、ウクライナへ2008年までに医療機器・医薬品に7億円、 チェルノブイリ事故での専門家の交流に9億円、小児病院の器材整備に27億円、 非核化に22億万円、原子力安全に20億円、チェルノブイリ原発の石棺支援に40億円が援助されたとあります。
ここから、ウクライナの健康被害を少なく見せるための研究資金が提供され、慎重に科学的な評価が行われ、それが福島は安全という根拠になっています。

 ウクライナの放射線研究者や国際原子力機関(IAEA)が過小評価しても、大量被曝した人に被害が出るのは当然です。 旧称・日本子孫基金としては、孫世代に「弱有害遺伝子」による悪影響が出ているかどうかを、みな様からいただいたカンパで調査しました。
そのとき、ショウジョウバエではわからなくてもヒトならわかるかも、と思ったのが間違いで、 弱有害遺伝子による悪影響は見えにくいことを思い知らされたのが、非汚染地域にあるコヴァリン村の学校での調査でした。
月刊誌『食品と暮らしの安全』283号2ページの写真で、右側は移住者の子ども、左側は在住者の子どもだったのですが、24人の規模では、 遺伝的な影響はまったくわからないことがわかったので、この夜に遺伝の自主調査を断念。 次の機会に、2百万人もの病気の記録を管理している政府部門で実態を聞くことにしました。

 第3回報告書の発行後に120万円ものカンパをいただきました。お礼を申し上げます。
このお金で、コヴァリン村で安全な食事を食べる新たなモニター調査を始めています。
 コヴァリン村で採れるキノコは放射性セシウムを平均210ベクレル/s含んでいるので、キノコを食べない代わりに、8家族+1家族に無償で肉と牛乳を提供する調査です。 開始1ヵ月ほどで成果が出始めました。

◎頭痛とめまいが軽くなりました。
◎足の痛みは変わりません。
◎風邪が流行っているのに、9家族の子どもたちは風邪を引かず、元気に学校へ通っています。
◎7歳で体に変調をきたし、10歳の今は肢体不自由児のような症状になっているミーシャ君の家族には、 煮干し・アゴ・昆布の粉末だしも提供しています。彼のおばあさんは、具合が少し良くなったと話しています。

 これが届いたメールの概要で、2月にウクライナを再訪し、詳細を聞いてきます。
この調査も将来、福島で役立つでしょう。


2013年1月1日発行 No.285より

※第4回ウクライナ調査は現在続行中。

安全基金の活動と考え方(86)「「3000分の1」の線量で症状が」

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