代表小若順一が月刊誌に連載していた「安全基金の活動と考え方」です。
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「原発廃炉の技術立国」 安全基金の活動と考え方(78)

食品と暮らしの安全基金代表 小若順一


 原発を動かさないと、電力不足で夏に停電すると、関西電力が主張しています。
しかし、本当に足りないのは特に暑い数日で、しかも数時間だけ。この時間帯の電力価格を大幅に上げて、 みんなで節電し、大企業に自家発電設備を備えてもらえば、重大事にはなりません。
 停電を恐れて企業が外国に逃げ出すと、日本経済新聞が書きました。これは原発を動かすための方便で、外国では発展途上国だけでなく、先進国でも大停電が起こります。 10年ほど前に米カリフォルニア州で大停電が起こり、韓国でも昨年9月に大停電が起こりました。韓国は今夏も電力不足で、節電と夏休み分散などで乗り切る予定です。 原発利権派は、さまざまな名目をつくって原発を動かそうとしています。
 忘れてならないのは、「事故は絶対に起きない」と言い続けて原発を推進し、その結果、何千人から何十万人もの人に、 ガンにかかるよう運命づけ、16万人もの住まいを奪った人類史上最悪レベルの原発事故を起こした政府、東電、原子力技術者、原子力にかかわる官僚は、犯罪者であるということ。

 大被害を出した以上、「原子力ムラ」や、東電の責任者には、まず刑事責任を取ってもらわねばなりません。
事故の責任をとらないまま、「原子力規制委員会」が発足しようとしています。
この委員に、職を辞して現地調査を行った木村真三氏や、一貫して原発に反対してきた科学者の小出裕章氏、 今中哲二氏、国会の参考人説明で国民に希望を与えた児玉龍彦氏などがなるならいいのですが、そうはならないでしょう。
 原子力規制委員会は、犯罪者集団が事務所の看板を書き換えて、別の犯罪者集団を旗揚げするだけのこと、と私は考えています。 民間なら、失敗すれば仕事を失いますが、犯罪者の一員になっても、原子力ムラの人間には、これからも仕事があります。
 福島原発の廃炉を進めるには、新技術の開発が必要で、それがうまくいっても更地に戻すには40年ぐらいかかるのです。 この他に、大量に造ってしまった放射性廃棄物の処理問題があるのに、欲深い彼らは原発をまだ動かそうとしています。

 原発を動かせば地域経済が潤いますが、原発廃止を決めて、廃炉作業を始めても、地域経済は潤うのです。 廃炉は安定した雇用を生み、しかも、それが20年以上も続くのですから、原発を設置した地域には、それで満足してもらいましょう。
アメリカではこれから廃炉になる原発が相次いで出てきます。 また、中国が原発100基を目指して建設を進めているように、世界中で原発の建設が行われているので、残念ながら、またどこかで大事故が起こります。 したがって日本は、原発廃止を決め、廃炉や、事故処理に役立つ技術を極めるべきです。 それは、たくさんいる原子力技術者を有効に活用する方法でもあるので、ベストの選択肢といえます。 大事故を起こした日本は、廃炉の技術で世界をリードすることを目指すべきです。


2012年6月1日発行 No.278より

安全基金の活動と考え方(79)「「体調不良」見つけた理由」

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