代表小若順一が月刊誌に連載していた「安全基金の活動と考え方」です。
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「双葉町長への抗議状」 安全基金の活動と考え方(74)

食品と暮らしの安全基金代表 小若順一


 「中間貯蔵施設」「被害者に責任取らすのか」(東京新聞「こちら特報部」1月6日付)
という「双葉町長手記」を読んで、私は怒りを禁じえませんでした。
 福島県は東日本大震災に加えて、原発事故による最大の被災県なので、私も慎重に発言してきたつもりです。
しかし、福島県知事、双葉町長、大熊町長は別。彼らには原発推進の責任があり、日本国民と福島県民を放射能で傷つけた加害側の責任者の一人だからです。 同じ発言を浪江町長、飯舘村長がするなら賛同します。 しかし、原発利権の大きな受益者であったことを忘れ、自分の責任を棚上げするのは認められません。 「安全だと私たちにうそをついてきた『原子力ムラ』」と双葉町長。 でも、双葉町長は原子力ムラの一員です。

 福島県には、原発をきちんと進めようとした佐藤栄佐久知事(在職1988〜2006年)がいました。
知事在職中に、事故隠し、データねつ造、約束違反などが次々と起こり、佐藤知事はまるで反原発派のように経済産業省と対峙し続けることになって、最後は収賄罪で逮捕されたのです。
その主任検事は、厚労省の村木厚子局長を逮捕した前田恒彦。 この収賄事件がねつ造だったことは、東京高裁の判決が「収賄がゼロ円」となったことで明らかになっています。
 『原子力ムラ』が福島県で何百回もうそをついたことは、佐藤前知事の『知事抹殺』『福島原発の真実』を読めば明らかです。 双葉町長が知らないはずはありません。半減期が2万4000年のプルトニウムを燃やすプルサーマル受け入れを、佐藤栄佐久知事は拒否。論理が合わないからです。
次の佐藤雄平知事に、双葉町長らが実施を要請し、2010年8月に受け入れを決定。プルサーマル実施後に大事故が起きたので、双葉町長は加害者側です。

 3号炉の爆発で、プルトニウムも放出されました。双葉町の汚染はセシウム137やストロンチウム90だけの汚染地域とは違います。
「(放射能の)除去もできず住む希望も持てない一番ひどい地域とされる双葉と大熊が、事故の最大の被害者。ここに施設を造れということを、誰にも言われたくない。 私たちは誰よりも早く帰りたい気持ちがあり、『放射能をどこかに持っていけ』と加害者に声を大にして言いたい」と双葉町長。
 でも、放射能処理の大原則は、拡散させないこと。汚染が一番ひどい地域を最終処分場にして、汚染物を集めて処分するのは、日本国として当たり前のことです。
「世界最大の原発被害者になってしまった」と書いていますが、これもヘン。 現時点で「最大」はチェルノブイリ原発事故の被災民です。チェルノブイリから学ばないと、福島県民と日本国民の被害は、これから増すばかりになります。

 双葉町長は、町民の生活再建を第一に考え、同時に原発の町の責任者として、日本中に被害が拡大しないよう、大局的に考えて責任を果たすべきです。


2012年2月1日発行 No.274より

安全基金の活動と考え方(75)「寒冷化に備える気構えを」

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