代表小若順一が月刊誌に連載していた「安全基金の活動と考え方」です。
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反対の意見表明について 安全基金の活動と考え方(7)

食品と暮らしの安全基金代表 小若順一

 「買ってください」
新聞広告に、こんなコピーはありません。テレビCMも同じです。テレビ通販でも、特徴をアピールして、「今ならお買い得」と言うだけ。「ぜひ買ってください」などとは言いません。
 これと正反対なのが、運動団体です。
「○○をやめてください」
「○○を中止してください」
「○○に反対です」
こんな反対意見のオンパレード。

 そう言いたい理由は、よく理解できます。現に、私たちも、浜岡問題で他団体と同じような表現をしています。あまりのリスクの高さに感情のコントロールができなくなって「浜岡原発を止めよう」などと、見出しを付けているのですが、当の私も、こういう表現が目標達成に有効と考えてはいません。

ところが、運動家の多くは、いつもこのようにきちんと態度を表明すべきと思っているのです。それも、できるだけ幅広く意見を言うべきだと。例えば『放射能で首都圏消滅』には、東海地震で浜岡原発が壊れることしか書いていませんが、それが気に入らなくて、「原発の○○に対して反対していない」と批判が寄せられます。
もしそう書いたとしても、力が増すわけではありません。「○○反対」で連帯感が高まるだけ。「買ってください」と言っても、買ってはくれないように、意見を表明しても問題は片付かないのです。
 ですから、企業の広告と同じように創意工夫して、知らない人を説得することを目指さねばなりません。
表現方法は簡単です。新聞を見て、自分たちに合う広告を選び、それに自分たちのメッセージを重ねて、同じようなイメージに創り上げていけばいいのです。

民主主義の世の中ですから、社会を変えるには過半数の支持を得る必要があります。
そうするには、説得する前に、まず目立つことが必要です。できるだけ目立ちながら、運動を続けて支持者を増やし、過半数を超える支持が得られるようになれば、問題は解消していきます。
 どのタイミングで、誰にどう意見を言い、支持者を増やしていくか、そのセンスも大切です。これを軽視したら、成果は上がりません。浜岡問題で、古長谷稔氏をスカウトして本を作成したのも、このように考えているからです。

しかし、国家プロジェクトに対抗するには、力不足だったと痛感させられています。特に、マスコミの慎重さは驚くばかり。地震の政府資料を基に、原発の危険性を追求したので、中部電力から裁判を起こされない信頼性の高い本になっているのですが、それでも新聞は取り上げないのです。
『週刊現代』が「浜岡原発」を大きく取り上げてくれましたが、まだ大きな壁がたくさん残っています。『放射能で首都圏消滅』が爆発的に売れなかったので、浜岡問題は時間がかかることになりました。それに対応できるよう体制を整え直そうと思っています。

 次回は、「プロ対素人・ボランティア」について書きます。


2006年7月1日発行 No.207より

安全基金の活動と考え方(8)「プロvs素人」

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