代表小若順一が月刊誌に連載していた「安全基金の活動と考え方」です。
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「子どもを守るために」 安全基金の活動と考え方(69)

 福島県の子どもたちが甲状腺被曝していたことが明らかになりました。 しかも、政府が安全として目標にしている年間20ミリシーベルトを超えた子どもがいたのです。
 この調査は政府の依頼で3月下旬に行われ、政府はすぐ結果を知ったのに、8月13日まで公表しませんでした。 福島で新幹線が動いたのが4月12日。遅くともこの直後に政府は公表して、子どもと親を逃がすべきでした。
 危険性がまだ隠されているのは「累積線量」です。新聞で見られる累積線量は、3月23日以降のもの。 原発から放出された放射能のピークは3度あり、福島の3度目のピークは3月21日でした。 つまり、減り始めた日の翌日からの累積線量が公表されているので、実際は公表された数値の数倍以上で、10倍を超えているかもしれません。
 100ミリシーベルトを超えると、ガンが1000人中5人に発生しますが、そんな地域が福島県には広範囲にあり、都市は20ミリシーベルトを超えていそうです。 この累積線量は、空気から浴びる線量の累積で、ほかに内部被曝があります。 福島に住んでいれば内部被曝を避けられないので、子どもの調査から、住民に多くの被害が出るとわかったわけです。
 福島市、伊達市、二本松市、郡山市は、困ったことに現在でも「放射線管理区域」の条件を超えています。 入ってはいけない放射線量の場所に、人が住み、農業が行われ、工場が動いているのです。 子どもや若者は今からでも、そこから避難する方がいいのですが、避難指示が出た地域の人しか、お金が支払われません。
 この条件を変えて、放射線管理区域に相当する自治体は、避難費用を補助するようにさせる必要があります。 一般には、その費用が莫大になると考えられています。 自治体が認めて避難した人には、1人当たり1日5000円の宿泊費と、別に交通費が支払われます。 もし、子ども、母親、父親、若者が100万人が避難すると、1日に50億円の支出が必要になるからです。 この額は本当に多額でしょうか。
 1960年に日本原子力産業会議が、17万kWの原発が爆発事故を起こしたら、国家予算の2.2倍の損害が出ると報告書を出しています。 現在なら180兆円ぐらいになります。1日50億円、年間1兆8000億円は、想定された被害の1%でしかありません。 だから、驚くほどの金額ではないのです。
 日本は円高で悩んでいます。被害者救済のために国債を発行すれば、円安に誘導でき、輸出産業が助かります。 今なら政府は、無理なく被害者に救いの手を差し伸べることができるのです。
 日本人の遺伝子を守るため、国は子どもと若者が避難できるよう、必要な予算措置を講じるべきです。

食品と暮らしの安全 代表 小若順一
2011年9月1日発行 No.269より

安全基金の活動と考え方(70)「放射能汚染地の居住に年齢制限を」


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