代表小若順一が月刊誌に連載していた「安全基金の活動と考え方」です。
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「「蘇州パール」を売る理由」 安全基金の活動と考え方(34)

食品と暮らしの安全基金代表 小若順一


 隣国の中国は、わからない国です。
「月収2万円以下の人が10億人ぐらいいる」こう聞けば、貧しい国と思います。
「年収1700万円以上の人が7500万人」こう聞けば、富裕層の人が日本やアメリカより多い国になります。
 30年ほど前までは貧富の格差が少なかったはずなのに、これほどの所得格差ができ、しかも、それが共産国とは。 日本をしのぐ経済大国になり、さらに大きく変化しようとしている中国。 この隣国とどう付き合うのか、これは、これからの日本の大きな課題です。
 日本は、1500年以上前から、たくさんの文化を中国から輸入し、それを日本的に消化しながら取り入れてきました。 まだ後進性の残る中国をバカにしている人もいますが、その人の名前には、中国で開発された漢字が使われています。 日本は漢字文化圏の一員ですから、100年ほど前までそうだったように、中国に敬意を払いながら付き合っていくのがいいと、私は考えています。 そうするためにも、中国と、中国人のことをできるだけよく知っておくことが必要です。
 しかし、冷凍毒ギョーザ事件をみても、中国は複雑怪奇。 検出されたメタミドホスは、政府が禁止していました。ところがインターネットで堂々と販売されていて、ドラム缶どころか、タンクローリーでも買え、密造もしている。 日本では考えられないことが存在しているのが、中国です。 蘇州パールを売り続ける理由も、ここにかかわっています。 商売を通じて、中国の実情と、変化の様子を知り続けたいわけです。
 スタッフが淡水パールを蘇州に買い付けに行ったとき、日本に送れなかったら、貿易をしたこともないパール業者が「簡単に密輸出できる」と話したのです。 こういうことは取材ではわかりません。 もちろん密輸は断り、スタッフは手荷物で持ち込み、税関を通しました。
 検品すると、日本では売れないものが8割あるロットがあって、それを除いたのが「蘇州パール」です。 現地のネックレスは、不良金具、パールの質・色・輪の大きさ・糸の結びにムラがあって、レベルが低いのです。 中国ではそれが当たり前。その中国製品が日本で氾濫しているのは、現地で非常に苦労している人がいるからです。
 現地でしかわからないことが多いため、中国に移り住むジャーナリストがいて、その1人である一ツ橋史郎氏は、「淡水パールを発注して、送金しても届かないかもしれません。 もし届いても、すべて粗悪品かもしれません。そういうことがあっても私は驚きません」。
 こういう授業料を払いながら、「蘇州パール」を通じて、中国と中国人をもっとよく知り続けたいと考えています。


2008年10月1日発行 No.234より

安全基金の活動と考え方(35)「戦争のリスクを減らす」

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