代表小若順一が月刊誌に連載していた「安全基金の活動と考え方」です。
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再エネへの補助金をやめさせよう 安全基金の活動と考え方(144)

食品と暮らしの安全基金代表 小若順一


 太陽光発電のコストは2010年から7年間で73%減、と国際再生可能エネルギー機関が報告しました。
世界の平均コストは1kWhで10円ほど。 ここまで下がると、送電網が整備されていない砂漠に近い場所では、太陽光発電と蓄電池の組み合わせが一番安くなります。

 世界最大の太陽光発電国は、一帯一路構想の中で太陽光発電を進めている中国です。
 日本はコストが世界平均の2倍以上ですが、フィルムのように薄くて製造コストが安く、 耐久性も10年ほどある素材が開発されたので、まもなく壁や曲面にフィルムを貼って発電できるようになります。

 それなら日本も、地球温暖化対策に補助金を出して太陽光発電を増やすのがいいと思われるかもしれませんが、 補助金を出してはいけません。

 太陽光発電は、需要に合わせて電力を生産できないことと、発電が不安定なことの2つの弱点があるからです。 太陽光発電が増えると、夜にバックアップ電源が必要になります。 火力も水力も昼は発電量を下げて待機するので、コストが高くなります。  太陽光発電の公表コストは単体コストです。 これにバックアップ発電のコストアップ分を加えると本当のコストになります。 二重設備になるので、本当は高コストが続くのです。
 砂漠のような場所では、太陽光発電にリチウムイオン蓄電池を組み合わせて使います。 太陽光は無限ですが、レアメタルが電池で消費されるので「再生可能」ではありません。 木にフィルムを貼っただけの太陽光発電なら「再生可能」ですが、今の「再生可能エネルギー」は不当表示なのです。
 再エネは不安定な小規模発電なので、安定化させるために送電網を充実し、たくさん集めてネットワーク化する必要があります。 再エネは、この送電網コストを切り離して安く見せています。
 電気自動車を早く普及させようとしているヨーローッパや中国は、 自動車に積む電池を再エネで充電し、家庭でその電気を利用する構想もあります。 これもバックアップ電源が必要なので、二重の設備投資になります。
 バックアップ装置には、鉄、アルミ、希少金属、石油、天然ガスなどが使われるので、省資源にも省エネにもなっていません。 その上、製造時に大量のCO2が出るので、原発よりまし、というだけなのです。  目の前ではCO2を減らしても、遠くの見えないところで資源とエネルギーを浪費しながら多量のCO2を出し、 原発を擁護しているのが、現在の「地球温暖化対策」です。
 地球が温暖化し、その結果、発泡飲料が温まると泡が出るように、 海からCO2が出て大気中の濃度が高くなるという槌田・近藤理論を私は支持しています。
 もちろんCO2の排出を減らすのは、いいことです。だから、詐欺的な名前を付けて二重に設備投資させ、 CO2を増やす再エネへの補助金はやめさせるべきなのです。
 節約だけが正しい対策で、それには石油や石炭、天然ガスに税金をかけて、使用を抑制するのが有効です。

2018年5月号No349より

安全基金の活動と考え方(145)『ペンを持って闘え!』

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