代表小若順一が月刊誌に連載していた「安全基金の活動と考え方」です。
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原発は新しくても危ない! 安全基金の活動と考え方(106)

食品と暮らしの安全基金代表 小若順一


「所員の9割が吉田氏の待機命令に違反し、福島第2原発に撤退した」と2014年5月20日に誤報した問題で、 朝日新聞が苦境に陥っています。
 週刊誌は、スクープの過半数は、スクープでないか、間違いのどちらか。 誤報だらけの週刊誌のスクープを受け流している国民が、朝日新聞を許せないのは、信頼の証です。 スクープは、ギリギリの極限でつかみ取るもの。したがって、間違いは付き物。 数々のスクープをした私が、大きな間違いを一度もしていないのは、勘の良さだけでなく、幸運にめぐまれたからです。

 東電の清水社長が、海江田経産大臣に退避を伝え、「東電の全面退避」が、 菅総理、枝野官房長官ら政府首脳の共通認識になった問題と、朝日新聞のわかりやすい誤報は、リンクしています。 総理と社長の誤認問題が決着していないのに、未公開の吉田調書の誤認が、新聞社の存立を揺るがす大問題になるのはヘン。 原発推進派がコントロールして、事故後、反原発になった朝日新聞を攻撃している構図です。

 2013年2月号で『死の淵を見た男』の書評に書きましたが、私は、事故直後の爆発する前に、 原子炉へ水を入れようと現場に行った従業員が、検査器が振り切れたので、逃げ帰ったことが大問題と考えています。 旧・ソ連は、逃げたら銃で撃たれるので、逃げずに事故処理を行い、ウランと黒鉛が燃える原子炉にコンクリートを流し込み、 石棺にしました。多数の死者は出ましたが、これで放射能の放出がストップしたのです。 大事故が起きたら、死ぬのは当然と覚悟して仕事をするのが原発です。大事故なのに、逃げ帰る従業員を、原発で働かせていたのが、そもそもの間違い。 逃げ帰って対策を考えているうちに、次々と爆発しました。
大事故が起きたのに、原発推進派のおごりは、ますますひどくなっています。

汚染水対策の切り札、凍土壁が破綻したのに、9月10日、原子力規制委員会は、川内原発の再稼働を認めました。 事故時に計測不能になって、事故を拡大させた計器は改良されず、そのままです。
再処理工場も、高速増殖炉もんじゅも、次世代炉といわれる高温ガス炉も、明確に推進する方向になってきています。
一方、運転開始から35年以上たった60万 kW以下の、福井県・美浜原発1、2号機、島根原発1号機、愛媛県・伊方原発1号機、 佐賀県・玄海原発1号機の廃炉が検討されている、と報道されました。
何度も事故を起こした古い原発を廃炉にしていなかったのは、数百億円の特別損失を計上する必要があったから、とのこと。
唯一の朗報、と思った廃炉は、『元原発技術者が伝えたいほんとうの怖さ』(小倉志郎著、1700円+税、彩流社)で、意見が変わりました。
「新しい原発は、古い原発より危険際が高くなる側面がある」 「新しい原発ほど、計算技術の発達によって発見された余裕が、コストダウンのために削られていく」と書かれ、具体例が出ていたからです。

古い原発より危ないカ所のある原発が再稼働しないよう、世論を盛り上げましょう。

2014年10月1日発行 No.306より

安全基金の活動と考え方(107)『太陽光発電を進めてはいけない』

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