代表小若順一が月刊誌に連載していた「安全基金の活動と考え方」です。
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資本主義に必要な消費者運動 安全基金の活動と考え方(1)

食品と暮らしの安全基金代表 小若順一


本誌が200号に到達したのを機に、私がどう考え、何をしてきたのかを振り返ってみようと思います。
こんなことをする気になったのは、4ヵ月前に『使うな、危険!』が完成してみると、私が学生時代に学び、志したことが、普段は意識していないにもかかわらず、1冊の本にまとまっていたからです。

私が産業能率短大の学生だった1970年ごろ、「公害」が大ブームになっていました。
クラブ活動のテーマを探していたとき、偶然、ラジオの深夜放送で伊東光晴氏(東京外語大学教授=当時)の講演を聞き、私は公害問題にのめりこみました。といっても、本を読んで現地見学し、公害防止管理者の資格試験の勉強に取り組んだ程度です。
そのころ、伊東教授の本やテレビ番組で「現代の資本主義」を学びました。

・すなわち、資本主義は巨大企業を生み、巨大企業は寡占から独占に進行していく。だから、資本主義には独占禁止法が必要である。

・現代の病として、公害が発生しているが、経済学的な解決策は、ケンブリッジ大学経済学部の第2代教授アーサー・C・ピグーの厚生経済学によって示されている。発生者に費用を負担させることが解決策の基本である。

・資本主義は、欲望を喚起して市場を作り出し、ムダ使いをさせる。その対抗力として、資本主義には消費者運動が必要である。


このような内容でした。

今の社会を見ても、欲望を喚起してムダな消費をあおる巨大企業=資本主義の動きは変わっていません。
ところが、今の消費者運動は対抗力になりえていないのです。 頑張っているのは、個々のテーマで専門的に取り組んでいる市民団体で、幅広いテーマで活動している消費者団体は、消費者の心をつかんでいません。
自民党の武部幹事長が、マンションの耐震設計偽装事件が会で発言しても消費者の利益を守れないのが現状です。

こういう状況下で、生活に密着した部分で最もきちんと対抗しているのが「食品と暮らしの安全基金」で、その象徴が『使うな、危険!』『新・食べるな、危険!』です。
私たちも10年前までは専門団体でしたが、いつの間にかテーマが増え、それが消費者に受け入れられていました。 多くの人が支持してくれると、いつの間にか市場が変わります。2002年の『食べるな、危険!』がベストセラーになったら、ほとんどのスーパーに「抗生物質不使用」の鶏肉や豚肉が出回るようになったように、これから安全性の高い商品がどんどん生まれてくることを願っています。

次号は、私たちの市民運動と、政治運動との違いについて書きます。


2006年1月1日発行 No.201より

安全基金の活動と考え方(2)「政治と違う問題提起型の市民運動」

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