国際会議
コーデックスには誰が参加するの
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コーデックスの会議に参加するのは(1)加盟国政府代表団、(2)関連国際機関、(3)国際NGOの3つです。(2),(3)はオブザーバーと呼ばれ、現在約200団体あります。オブザーバーも、加盟国政府代表と同様に会議に参加し、意見を述べることができますが、投票や議題の提案はできません。

日本子孫基金はIACFO(International Association for Consumer Food Organization:食品国際消費者機構)という国際NGOをCSPI(アメリカ)とFood Commission(イギリス)、Consumer Association of Singapore(シンガポール)、チェンジコーデックス市民の会(東京)と共に作り、コーデックスに参加しています。

参加者の中には、非常にたくさんの食品産業や化学産業などの多国籍企業関係者がいます。企業は、(1)加盟国政府代表団に、随行員、技術アドバイザーとして参加したり、(3)国際NGOを作って参加しています。国際NGOというイメージからはかけ離れた、国際グルタミン酸協会、国際農薬委員会や、チューイングガム協会などがたくさんあります。消費者を代表する立場を明確に謳ってコーデックスに参加しているNGOは非常に少なく、Consumers International(国際消費者機構)とIACFO(食品国際消費者機構:日本子孫基金が構成メンバー)の2つです。そのほか、環境保護などいわゆる公益(Public Interest) を謳っているNGOは、IFOAM(国際有機農業運動連盟)などがありますが、数は決して多くありません。企業と消費者のバランスが偏っていて、これまで企業にとって有利な基準が多くつくられてきたことが指摘されています。現在、消費者のコーデックスへの積極的参加を促す努力が、コーデックス内で行われていますが、企業と消費者のバランスがとれるようになるには、まだ長い道のりがあると思われます。

これらの参加者の不均衡を補う対策として次のようなものが考えられます。


(1) 政府代表団に消費者団体の代表を入れる

政府代表団には、政府代表の他に、公的機関であるか民間であるかを問わずに、議題についての専門知識がある人が入るべきです。日本政府も、例えば、ミネラルウォーターに関することなら清涼飲料業界を、ラーメンに関することならラーメン業界を代表団にいれています。しかし、消費者の健康保護や消費者の権利に関することが話しあわれているのに、消費者団体の代表は政府代表団に入っていません。アメリカ政府、タイ政府などは、消費者も代表団にいれていますが、日本政府はいれていません。政府代表団のなかに入ると、政府の許可なしに発言をすることはできませんが、それでも、政府の発言に影響をあたえるチャンスがあたえられることになります。

*ちなみに、第12回アジア部会の日本政府代表団の半分は企業でした  第12回アジア部会で、日本政府が積極的に関わった、インスタントヌードルとミネラルウォーターは、業界も気合いを入れて政府に付き添っていました。日本政府代表団は、農水省3人、厚生省2人、ラーメン業界3人、日本清涼飲料協会2人。代表団の半数が企業では、あまりに偏っています。

インスタントヌードル規格の話し合いの時は、ラーメン業界が政府代表のとなりに座り、発言を指示していました。アジアの数カ国かでしか使われていない「ラーメン」という言葉を使うことに固執するなど、業界の利益を重視する発言をして、会場で失笑を買うあり様でした。


(2) コーデックス国内公聴会を開く

コーデックス委員会では、政府がコーデックスに参加する前に、政府の立場を消費者や企業に説明し、広く意見を求める「コーデックス国内公聴会(National Codex Committee)」を開くことを推奨しています。アメリカ、カナダ、イギリス、イタリア、タイなど多くの国では国内公聴会が開かれています。

アメリカは、20年前から公聴会を行っています。第23回コーデックス委員会の前に行われた公聴会の配布資料を見せてもらうと、それぞれの議題に政府の意見が説明されている20ページにも渡るものでした。ホームページにも多くの情報が公開されています。

イギリスでも、約30ある部会のひとつひとつに、政府が参加する前に、公聴会が開かれ、政府の立場を説明し、消費者に意見を求めています。事前にこのような公聴会が開かれれば、政府が消費者の意見を採り入れる可能性が出てくるのです。

本では、国内公聴会は開かれていません。そのため、消費者の意見を聞くどころか、コーデックスで何が話しあわれているのか、政府がコーデックスでどんなことを述べてきたのか、まったく分からないのです。コーデックスの決定が広く消費者に受け入れられるためには、まず政府が立場を明らかにして、国民の意見をきちんと聞く場を設けることが大切です。


(3) 政府はホームページなどをとおして日本語でコーデックスの情報を公開する

コーデックスの情報公開は、国際機関のなかでもかなりすすんでおり、行われている会議の討論資料や議事録はすべてホームページ上で公開されており、インターネットにアクセスがあれば、だれでも見ることができます。

コーデックスは通常、英語、スペイン語、フランス語で行われています。この3カ国語以外の国は、言語のハンディが指摘されており、今後、中国語をはじめとして、通訳・翻訳される言語を増やしていくことが検討されています。しかし、日本語の通訳・翻訳が行われることは今のところ望めません。

そこで、日本政府は、日本の消費者が興味があると思われる文書は翻訳して、公開することが求められます。省庁内で検討をする際に、和訳をしているはずなので、それを公開すればよいだけです。

ところが、コーデックスで採択された規格、例えばマスコミを含め多くの人が興味を寄せている有機ガイドラインも、コーデックス事務局は英語で公開していますが、農水省はすでにあるはずの日本語訳を公表していません。

日本子孫基金では、(1)消費者代表を政府代表にいれること(2)国内公聴会を開くこと、(3)情報公開をすすめることの3点を、1999年9月1日に、コーデックス担当の科学技術庁に申し入れを行いました。

政府は情報公開に関しては、動き始めています。3月14日から幕張メッセで行われる「バイオテクノロジー応用食品特別部会」に関しては、農林水産省のホームページで、情報が公開されています。

消費者のコーデックスへの参加を促すために、政府にはさらなる取り組みをして欲しいものです。

 

 



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