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国際会議
コーデックス・第4回バイオテクノロジー応用食品特別部会
(横浜)速報-3月12日-
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本日のまとめ

09:00〜13:00 組換えDNA微生物利用食品の安全性評価の実施に関するガイドライン案の続き
11:00〜11:40 休憩(パラグラフ24についての作業部会)
11:40〜13:25 組換えDNA微生物利用食品の安全性評価の実施に関するガイドライン案の続き
13:25〜15:00 昼食
15:00〜16:40 組換えDNA微生物利用食品の安全性評価の実施に関するガイドライン案の続き
16:40〜17:10 休憩
17:10〜19:00 組換えDNA微生物利用食品の安全性評価の実施に関するガイドライン案の続き
19:00〜20:00 夕食
20:00〜21:00 組換えDNA微生物利用食品の安全性評価の実施に関するガイドライン案の続き
21:00〜21:30 トレーサビリティに関するオープンディスカッション
21:30〜22:00 その他

●「組換えDNA微生物利用食品の安全性評価の実施に関するガイドライン」が合意  

長い議論の末、12日の21時に、「組換えDNA微生物利用食品の安全性評価の実施に関するガイドライン」が合意され、コーデックス規格の作成の最終段階であるステップ8にすすめることが、満場一致で決定した。
この規格は、昨年までに合意された二つの文章「モダンバイオテクノロジー応用食品のリスク分析に関する原則案」と「組換えDNA植物由来の安全性評価の実施に関するガイドライン」と共に、6月30日からイタリアのローマで行われる総会にかけられ、ここで採択されると、コーデックス規格となる。

現在は、世界中、どの国も、組換えDNA微生物利用食品の安全性評価の基準を持っていない。また、組換えDNA微生物利用食品が市場に出たこともない。今後、市場に出てくるかもしれない、新規食品の国際的なガイドラインができたことで、組換えDNA微生物利用食品の開発が進んでしまうかもしれない。しかしながら、今回のガイドラインは、抗生物質耐性に関する点や、人の消化器官における微生物への影響をきちんと評価するなどの点で、慎重な安全性評価ガイドラインができたといえ、この点については評価することができる。

コーデックスでは、これまで、1つの規格を作成するのに8−10年はかかることが多く、4年間で、3つの文書を完成させたこの特別部会は、今後、コーデックスの手本となるだろう。各国の議長国日本への評価は非常に高かった。

また、NGOの参加も活発であった。私たちIACFOも何度か発言をし、CI(国際消費者機構)、グリーンピース、49th パラレルは積極的に意見を述べていた。お互いに、サポートしあえる部分も多かったため、会議に大きな影響を与えたといえるだろう。

議論が夜9時まで長引いたことの理由は、簡単に言えば、「遺伝子組換えに関する情報公開を最小限にしたい」アメリカ、カナダと、「できるだけ多くの情報を公開させることを望む」ヨーロッパや消費者・環境NGOの対立がずっと続いたことだ。アメリカ、カナダは特に開発者の知的所有権を保護するための発言が目立った。  

●トレーサビリティをめぐり、各国とNGOが意見表明

トレーサビリティの議論は夜9時から始まった。会議参加者は昨日からの「微生物」に関する密度の高い議論に、みな疲れていたが、トレーサビリティの話になると気合が入り、会場の空気もピリリとした感じだった。オープンディスカッションということで、何かガイドラインを作ったり文書をまとめるような作業はせず、各国政府・NGOが自分の見解を述べた。どのような意見を表明したかは以下の通り。

EU:トレーサビリティの議論を進めてくれたフランスに感謝します。
アメリカ:tracing back はわかるが、tracing forwardが危険性のある食品の回収に必要であるという情報データは、聞いたことがない。(注:アメリカはトレーサビリティという用語を使わず、tracing backというトレーサビリティよりも狭い範囲の用語を使いたいとしている。バイオ特別部会でも、トレーサビリティという用語を主張するEU諸国やNGOとアメリカ・カナダが対立し、妥協策としてtracing of products(製品のトレース)という用語が「バイオテクノロジー応用食品のリスクア分析に関する原則」の文書で用いられることになった。ただ、一般原則部会など、他の部会ではまだトレーサビリティという名のもと議論が進められている。)
EC:ECでは来週トレーサビリティに関するルールが制定されます。WTOの加盟国にも通知が行くはずです。
議長:このバイオ部会で、トレーサビリティがコーデックスでは初めて議題として持ちあがったのをよく覚えています。
フランス:来月のパリの一般原則部会(フランスが議長国)では、トレーサビリティ、もしくはtrace backと呼んでいる国もあるようですが、がまた話し合われます。
IACFO(国際食品消費者機構・日本子孫基金の所属する団体):トレーサビリティの話し合いを始め、話し合いのためのペーパーを過去の部会に提出してくださったフランスに特に感謝します。トレーサビリティは、消費者の間で、特にBSEの発生や遺伝子組換え食品の市場化などのあと、高い関心を集めています。私達は消費者の代表として、多くの国がトレーサビリティを真剣に捉え、実行に移していくことを願います。
カナダ: この事項はすでに「リスクアナリシスに関する原則」で合意している。適切なリスク管理が必要だということです。
グリーンピース:カナダは他人事のように言っているけれど、カナダも実行に移していく中の一国です。民主的な国家であるならば、表示などの方法で、これらを実行していくのが普通でしょう。
49thパラレル:そうです。
ブラジル:他の部会でも話し合いが進んで欲しいです。
メキシコ:トレーサビリティは遺伝子組換え食品に限らず、食品全般に関する事項です。また、国際貿易や消費者の健康などにも、深く関わってきます。メキシコは、バイオセーフティに関するカルタヘナ議定書を批准しました。そこで思うのが、この議定書で輸出入の際に求められている情報は、トレーサビリティにも使えるだろうということです。
日本: トレーサビリティは日本でもとても関心が高い事項です。厚労省と農水省は、トレーサビリティに関するペーパーなどを作ってはいますが、トレーサビリティという用語の意味がはっきりしていないので、困っています。
アルゼンチン: ブラジルも言いましたが、途上国としてはトレーサビリティのコストが問題です。
オーストラリア:product tracingはコーデックスとしては多くの国が合意できる用語だと思います。ただ、市場化される前に安全性を確保することが何よりも先にすべきことだとは思いますが。
中国:途上国としてはコストが問題で、コストバランスをとるのが大変です。
EC:トレーサビリティはすべての食品に関わってくる事項です。そのことに関しては異義はありません。ECのルールでも、1つの食品だけでなく、組換え食品、牛肉、魚、などどんなものでも関わってくる事項として定められています。
議長:トレーサビリティの議論がこの部会から始まったことを認識しています。 そして、今の話し合いで途上国のコストに対する心配、消費者の自分が何を食べているかを知る権利、など、色々な意見が出たことは、議事録に反映します。


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