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特集◆硝酸態窒素の水汚染(2007年2月現在)

※データは2007年のもので、現在はわかりません。妊婦と赤ちゃんを想定して書かれた記事です。

硝酸態窒素による水汚染が深刻化


農村では、地下水の2割以上が硝酸態窒素の環境基準を上回ったと報告されたのが1997年。汚染は悪化しているので、現在ではもっと基準違反が増えているはずです。
水道原水の22%は地下水から供給されているので、水道水さえ危険レベルに近づいた水が増えています。
硝酸態窒素は安定性の高い物質なので、浄水場では除去できません。だから水道原水の汚染が進むと、取水を停止するか、検出値の低い水と混ぜて使うかの、二者選択です。減ることはないので、摂取量は増えていきます。
硝酸態窒素による環境汚染は、家庭の水道水に直結しているわけです。

赤ちゃんが亡くなる
硝酸態窒素による水汚染が問題になっているのは1945年から。アメリカで硝酸態窒素の濃度が高い井戸水を飲んで、乳幼児が死亡したと判明してからです。
乳幼児は硝酸態窒素に非常に弱く、酸欠状態で体がブルーになって亡くなるケースが増えました。その後の5年間で、アメリカでは「ブルーベビー症」で39人の乳幼児が亡くなったので、地下水への対策をとらなければならなくなったのです。
ヨーロッパでも、1948〜64年に乳幼児が80人死亡。そのため、地下水の硝酸態窒素の濃度を調べ、危険性の高い水は飲めないように規制されました。
その後、欧米でブルーベビー症はあまり起きなくなったと言われています。
自然には硝酸態窒素の浄化作用があり、特に水田は浄化作用が大きいのです。その上、日本では地下水がたまらずに流れているので、硝酸態窒素の汚染濃度が低く、ブルーベビー症は発生していないと言われてきました。
ところが、この2007年1月6日付け東京新聞に、1995年に北関東でブルーベビーが発生していたと記事が出たのです。その後の発生は確認されていないとのことですが、環境基準を超えた井戸の数が2000年度には165本だったのが、2005年度には651本に増えていることから「軽度な中毒症状は各地で起きているとみられる」とも書かれていました。
そこで各地の名水を検査すると、許容値ギリギリの名水が見つかりました。
それで、水道水のデータを調べると、近くの大都市の水道水より、名水の方が汚れていることがあるという、思いもよらぬことが判明。やはり田舎では地下水が危険な状態になっていたのです。
地下水を原水に用いた水道水を、乳幼児に与えるのは、もはや危険な段階に入りつつあります。

化学肥料と家畜排泄物
硝酸態窒素の汚染が増えている原因は何でしょうか。
日本では、水の硝酸態窒素汚染は、大正末期に化学肥料を用いるようになってから始まったといわれています。地下水の硝酸態窒素は、化学肥料59%、家畜排泄物37%によるという試算もあるほどで、化学肥料と家畜排泄物が主原因であることは間違いありません。
硝酸態窒素を減らすには、この2つとも減らさねばなりませんが、それは容易ではありません。
化学肥料を劇的に減らすには、耕地面積が0.1%もない有機農業を、日本の主流派にする必要があります。
家畜排泄物は、ヨーロッパでは前から規制が強化されていました。日本でも2004年11月から規制が強化されています。
これ以上減らすには、家畜の飼育数を減らし、輸入飼料を減らさねばなりません。しかし、牛のBSE、豚の口蹄疫、鳥インフルエンザと、食肉の輸入がしばしば急にストップしている折に、日本の畜産を急減させるわけにはいきません。

浄水器の有効性
硝酸態窒素は、今のところ浄水場では除去されません。
家庭で取り除こうと思っても、加熱では減りません。
浄水器を使っても、取り除けない機種がほとんどです。活性炭、中空糸膜、セラミックでは硝酸態窒素を除去できないからです。
逆浸透膜なら完璧に除去することができますが、そうすると純水になって、飲用水に適さない下痢しやすい水になってしまいます。
純水にならない逆浸透膜の浄水器もありますが、そういう逆浸透膜は、硝酸態窒素だけでなく、他の汚染物質もあまり取ってくれません。
イオン交換樹脂を用いた浄水器にも同様の問題がありますが、こちらの方は少し期待できます。硝酸態窒素はよく取るのに、カルシウムなどのミネラルはあまり取らないイオン交換樹脂があるからです。そういうものをベースに、活性炭や中空糸膜を組み合わせた浄水器が、現状では、一番いい飲み水を得られる方法と思われます。

井戸水を飲む人は対策を
硝酸態窒素に対して、大人はかなり抵抗力があります。さいたま市でも水道水が供給されるときには許容値を超えていないので、大人が水道水を飲んでいる限り、今すぐ対策をとる必要はありません。
しかし、井戸水を飲んでいる人は対策が必要な時代に入っています。
また、赤ちゃんや胎児には毒性が強く現れます。田舎に住んでいる人で、これから子どもをつくろうと考えている方は、硝酸態窒素への対応を、優先順位の上位におくように生活を見直す方がいいと思います。


月刊誌『食品と暮らしの安全』2007年2月1日発行 214号より


>>水道水より名水が汚い 水道水を広く汚染>>


特集 硝酸態窒素の水汚染(214号)
>>・水道水より名水が汚い
>>・水汚染が深刻化

特集 硝酸態窒素の水汚染2(216号)
>>・水道水を広く汚染
>>・有名8ブランドが汚染
>>・「清涼飲料水」の水は低レベル
>>・スーパーの自販機水から
>>・よく行われる家庭の防衛策は?



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