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掃除するほど体に悪い?
掃除機は家庭の空気の汚染源

月刊誌記事から>国産掃除機の知られざる危険!(2006年9月号 No.209)


「排気のノロウイルスで胃腸炎」

寒くなると急増するノロウイルス胃腸炎への対策は、貝類を加熱して食べることと、排気のきれいな掃除機を使うこと。
ほとんどの国産掃除機は排気が汚いので、もう使うのをやめましょう。

●同じ部屋にいた人が発症

7月から9月は細菌性の食中毒が多発します。年間発生件数の4割がこの季節に集中するので、9月いっぱいは食品の保管に気をつける必要があります。
その後、気温が下がるにしたがって増えるのがノロウイルスによる食中毒。12月にいきなりピークとなり、3月ごろまで多発します。一度に多数の患者が出るのが特徴で、2004年には12,537人の発症が把握され、食中毒患者の5割近くはノロウイルスが原因です。
ノロウイルスは、人間の体内で増殖し、トイレから下水を通って海に流れて、カキやシジミに潜んでいます。ですから、生ガキや加熱の不十分なシジミを食べると感染し、1日から2日して、おう吐、下痢、腹痛、発熱などの症状が出ます。健康な人なら1〜2日ダウンするだけですみますが、幼児や高齢者の場合は、脱水症状を起こして重症になることもあります。
ノロウイルスが細菌と異なるのは、空気中に漂い飛沫感染を起こすこと。そのため、感染した人が出ると、掃除した人や、同じ部屋にいた人までノロウイルスによる下痢、おう吐、腹痛、胃腸炎などを起こしてしまうのです。その有力原因の一つが、国産掃除機の汚い排気らしいとわかりました。
おう吐物を拭き取り、乾燥してから床に掃除機をかけると、チリとともにノロウイルスが空中にばら撒かれます。そして、ノロウイルスが部屋中のあらゆるところについてしまうので、今度は貝を食べなくても患者が次々と出てしまうわけです。
そのため、東京都では『ノロウイルス対応標準マニュアル』を作って、社会福祉施設でノロウイルス食虫毒が発生した場合、消毒を徹底するとともに、おう吐物を処理するときには窓を大きく開け、換気扇を回すように呼びかけています。
このノロウイルス食中毒について、東京都の中央区保健所が興味深い発見をしました。掃除機のチリからノロウイルスを検出したというのです。

●東京都中央区の宿泊施設で

今年の3月27日から4月5日にかけて、中央区の宿泊施設で148名に急性胃腸炎が発症しました。内訳は、12グループ140名の宿泊客と、施設職員8名です。
食品からノロウイルスは検出されませんでしたが、患者がおう吐した客室や廊下に掃除機をかけてチリを検査したら、ノロウイルスが検出されたのです。
後に、このノロウイルスの遺伝子配列は、患者の宿泊者や調理人から検出されたノロウイルスと同じと確認されています。
掃除機のチリからノロウイルスが検出できることがわかったので、次亜塩素酸ナトリウムで1回目の消毒をする前後に掃除機をかけてチリを採取。
消毒後のチリからもノロウイルスが検出されたので、2回目は消毒の効果を高めるため、次亜塩素酸ナトリウムのミスト散布とスチーム洗浄を行いました。
それでも、まだノロウイルスが検出されたので、次亜塩素酸ナトリウム散布とスウェーデンの掃除機オキシジェンで清掃したら、4回目にノロウイルスは検出されなくなったのです。〔表〕


表 掃除機のチリのノロウイルス検査

清掃消毒方法 ノロウイルス 備考
清掃消毒前 1/1 全体
1回目 掃除機と清拭
次亜塩素酸Na溶液散布(5cc/m2
1/2 2階1検体
3階1検体
2回目 掃除機
スチーム洗浄
次亜塩素酸Naの溶液ミスト散布(30秒/部屋)
8/20 1階1検体
2階9検体
3階9検体
参考1検体
3回目 掃除機(ヘパフィルター)
pH調整した次亜塩素酸溶液(25cc/m2
1/9 3階8検体
2階1検体
4回目 0/1 3階1検体

発表文書では、6つの「結論」が書かれており、そのうち2つが掃除機に関するものでした。
「ノロウイルスの確認の有無に掃除機のチリの採取が有効であった」
「掃除機については、ノロウイルスを拡散する恐れがあることから、吸気のもれないヘパフィルター付きの掃除機がノロウイルスの排除に有効であると考えられた」

●国産掃除機の排気で食中毒が拡大

ノロウイルスは非常に小さいので、どんな掃除機でも完全に除去することはできません。しかし、チリとくっついていたら除去できるようになります。
チリ測定器で掃除機の排気を検査すると、国産掃除機は5μm(マイクロメートル)〔1000分の5ミリ〕以上のチリをゼロにできます。国産掃除機の中の大きなチリからノロウイルスが検出されたことは、何かにくっついていたことを意味します。 ですから、排気中のチリが少ないほど、ノロウイルスも多く除去されていることになります。
英国ダイソン社の掃除機は1μm以上のチリをゼロにします。
オキシジェンは0.3μmをゼロにしますが、これ以下を測定できる機器を持っていないので日本エレクトロラックス社に問い合わせると、オキシジェンの排気は0.08μmの超微粒子を99.95%除去することがわかりました。
取れる最小径の微粒子を体積で比較すると、オキシジェンはダイソンの1000分の1以下、国産掃除機の10万分の1以下になります。
ノロウイルスの径は0.04μmなので、これはオキシジェンと言えども取ることはできません。しかし、何か他のものにくっついているノロウイルスならほぼゼロにできます。
一方、国産掃除機は小さいチリにくっついたノロウイルスは、すべて排気から出します。
吐物があれば、きれいに拭き清掃してから掃除機をかけますが、その掃除機が国産だったら、吸い込んだノロウイルスを吹き出して部屋中に拡散していることになります。
家族にノロウイルス食中毒が出たとき、国産掃除機を使っていると、ノロウイルスは家中の床に落ちるので、赤ちゃんはどこを這っても、おう吐や下痢をするかもしれません。
ノロウイルスによる胃腸炎がホテルの同じ部屋で出続けるのは、掃除機の排気が汚いことが一因です。
「ヘパフィルター付きの掃除機がノロウイルスの排除に有効であると考えられた」と、発表文書の結論に書かれていますが、国産掃除機は、ヘパフィルター付きでもあちこちから排気を漏らすように設計されているので、 やはりノロウイルスを拡散します。有効どころか「有害」なのが国産掃除機です。
排気が格別にきれいなオキシジェンは、本体が2重にパッキンされていて排気が漏れません。ヘパフィルターの性能も、カーペットへの密着性もいいので、だからノロウイルス対策にも有効だったのです。
排気がきれいな掃除機を使っていると、感染症や食中毒の予防にもなるわけです。


参考:中央区保健所 佐藤瑞枝、山崎賢一、佐藤健一、新藤賢一、吉井紀子、高橋泰光、
        小暮実『ノロウイルスによる急性胃腸炎の集団発生と施設消毒方法の一考察』


    

    

月刊誌『食品と暮らしの安全』2006年9月1日発行 209号より

>>レポート:ノロウイルス




※調査対象とした「オキシジェン」は、販売終了となっております。



※最新情報は月刊誌『食品と暮らしの安全』2012年7月号に掲載されています。

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