代表小若順一が月刊誌に連載していた「安全基金の活動と考え方」です。
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「「科学検証」の実態と限界」 安全基金の活動と考え方(52)

 日本人は、全年代で亜鉛の摂取量が必要量の半分以下とわかりました。これからは、亜鉛不足と病気との関連が、科学的に調査されることになります。 この「科学」に、問題があるのです。亜鉛が不足していることは、もっと微量の必須ミネラルに不足しているものがある、と推測させます。 しかし、科学は、証明されていないことは無視してもいいので、微量の必須ミネラル不足を考慮しない治療試験が行われる可能性があります。
 例えば、微量ミネラルが不足していそうな病院食を食べている入院患者に、亜鉛サプリメントを投与するような実験です。 要素が複数だと、改善した症状との関係を証明できないので、これまでの条件を変えずに、1ミネラルだけを投与する実験が行われます。 自然界の法則を個々に解き明かしていくのが科学なので、病人の食事の質を上げると厳密な証明ができません。低質の食事に、1ミネラルを投与して、病気がどの程度良くなるのかを調べるのです。 病気にミネラル不足がかかわっているなら、食事の質を上げれば病状は良くなります。そうしない「科学」で、病人は良くなるチャンスを奪われるわけです。 もっとひどいのは、医療分野で採用される「二重盲検法」という実験方法です。 『無添加白だし』が、特定の病気に効果があるかどうかを科学的に調べるなら、この方法を採用しなければなりません。 まず、『無添加白だし』と色、塩分濃度、香りが同じで、化学調味料だけで味をつけたニセのダシを用意します。 次に、特定の病気の人を200人集めて、100人にはニセダシを、もう100人には本物を水で薄めて飲んでもらうのです。 その結果、病状が良くなった人が、本物を飲んだ100人の方に多ければ、『無添加白だし』が病気を良くしたことになります。 『無添加白だし』を飲んでいることが、使っている本人にわかるだけで、病気が良くなることがあるので、本物かどうかがわからないようにして調べるわけです。 こうして、効くかどうかを立証します。
 しかし、これは、患者の立場からすると怖い検査法で、治るかもしれない時間を失う患者が半分もいるのです。 うつ病なら、その間に病状が悪化して、自殺してしまうかもしれません。 したがって、二重盲検法は、命にかかわる病気でない範囲に限定して行われる必要がありますが、そうすると科学的な証明のできない病気が出てきます。
 『食べなきゃ、危険!』が出るまで、私たちが出すミネラル不足の情報は社会的に無視されてきました。これからは「科学的でない」という批判にさらされます。 しかし、「科学」にも問題があって、真実のごく一部しか解き明かせないのです。 水煮食品を見れば、現代食に起きている問題の全容を予見することができます。 そういうことは「科学的でない」と言うのが現代の科学です。当たり前のことがわからない科学者が増えているのです。

食品と暮らしの安全 代表 小若順一
2010年4月1日発行 No.252より

安全基金の活動と考え方(53)「サプリメントに逃げてはいけない」


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