代表小若順一が月刊誌に連載していた「安全基金の活動と考え方」です。
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「思想は少しでいい」 安全基金の活動と考え方(37)

食品と暮らしの安全基金代表 小若順一


 インド・ムンバイのテロ事件が起きている最中に、NHKのBSニュースを見ていたら、インタビューされた男性が「パキスタンと戦争だ」と話しました。 2日後には、タージマハル・ホテルの前でデモする群集が「戦争だ。戦争だ」と叫んでいました。 テロ犯が特定されないうちに「戦争だ」となるのは、インドとパキスタンの間に、カシミール地方をめぐる紛争があるため。
 やはり領土問題で隣国とごたごたを起こしてはいけません。 このテロ事件で、100年に1度の大恐慌は、さらに深刻化することになります。 1929年に世界大恐慌が起こったときは、10年後にドイツがポーランドに侵攻して第2次世界大戦が始まりました。 日本も中国を侵略した後、1941年に真珠湾を攻撃して世界大戦に参戦しています。
 ところが「日中戦争は侵略戦争ではない」と、田母神俊雄・第29代航空幕僚長が論文の冒頭に書きました。 歴史に詳しくない私でも、この主旨が間違っていることは、よくわかります。 隣国がどう考えるかより、自分の美意識を優先する、そんな人が幕僚長になることが日本防衛の最大の弱点かもしれません。
 市民運動家としての経験で言えば、私が35年前に、消費者団体の職員になったころ、「思想性がない」とよく言われました。 今でも、そのとおりだと思いますが、今は、思想性がないことが悪いとは思っていません。 私は好きなことだけしていますが、結果を振り返ると、十分すぎる個性が見えるから、これが私の「思想」です。 思想性があると自認している人たちの運動は、やっては負け、やっては負けの連続で、話題にはなっても、成果を挙げられないのが常でした。 私は、連戦連勝だったのに、成果を挙げない人たちから「思想性がない」と批判されていたのです。
 おそらく防衛省も同じ体質でしょう。田母神氏は、「日本がいい国だと思わなければ、国を守れない」と言って、過去を美化することに取り組んでいます。 武官の役割りは、どんな条件であれ、国を守ること。いい訳をしているようでは、国を守れません。
 しかも田母神氏は、隣国の感情を逆なでするのは平気。戦争を起こしかねないタイプなのに、戦争したら必ず負けるタイプの武官なのです。 こういうタイプの人間が、武官の中で出世していることが明確になりました。 戦争などすべきではありませんが、仮に防衛のために戦争をしても、負けそうなのが日本の現状です。
 政治家や評論家には、田母神氏と同じタイプの人がたくさんいます。口先がうまいだけで当選でき、食べていけるからです。 経済が悪化すると、隣国を悪く言う発言が増えます。気がついた人がその都度、反論や抗議をしないと、紛争が起こり、大規模な戦争に巻き込まれるかもしれません。


2009年1月1日発行 No.237より

安全基金の活動と考え方(38)「アイデア商品で効果を知らせる」

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