代表小若順一が月刊誌に連載していた「安全基金の活動と考え方」です。
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「省エネかどうかは、金額で判断する」 安全基金の活動と考え方(33)

食品と暮らしの安全基金代表 小若順一


 前号の「自然エネルギーを支持しない理由」に、「装置も、製造・廃棄のために石油を使い、CO2を排出するので、トータルで見る必要があるとありますが、 トータルに見て3年後にはCO2削減になると聞いています。トータルに見た試算はありますか」と、ご質問をいただきました。
 エネルギー収支計算をすればわかると、一般的には言われていますが、実は、正確にはわからないのです。 1本の鉄の棒に、どれだけのエネルギーが投入されているかは、だいたいのことならわかります。 でも、どこの製鉄所の鉄を使ったのか、仕上げをどこでどう行ったかで、エネルギーコストは大きく異なります。 複雑な装置を追跡してエネルギーコストを計算するのは、製造業者以外は無理。 それより、価格を見ることです。価格で考えると、間違いにくくなります。
 日本の太陽光発電は、1戸当たり230万円で設置し、発電した電力を、通常の電気料金で電力会社に売り、消費者はだいたい30年で元が取れるようになっています。 ところが、10年目のころに故障し始めて、修理費がかさみ、それから数年で装置は寿命を迎えるのです、元など取れません。 ここで見えないのが、質の悪い電力を利用するために、余分のコストがかかっていること。
 太陽光発電や風力発電は、電力需要と無関係に発電します。この電力を利用するには、余分な装置が必要です。 そのコストを無視して、電力会社は一般家庭の利用価格とほぼ同じ価格で購入しているのです。 自然エネルギーを推進するため、経産省は、2020年までに6兆円かけて大量の蓄電装置を設置する予定です。これまでは、この6兆円の金額が見えませんでした。
 重金属を用いる蓄電池を、こんなに大量に製造すれば、環境がひどく汚染され、CO2も大量に出ます。 それなのに政府は、また太陽光発電に補助金を復活させ、1戸当たりの設置費用を100万〜150万円に下げて普及を目指そうとしているのです。
 日本はすでにバカなことをしてきました。十数年前から太陽光発電を推進してきたので、発電装置の生産量は世界一。そのときに出るCO2は、もちろん日本で排出されています。 発電装置や蓄電装置の多くは、太陽光発電を伸ばしているドイツに輸出されています。ドイツに設置された発電装置は、石油を使わずに電気を出すので、ドイツだけでみると太陽光発電は、CO2の削減に貢献しているのです。 日本は、発電装置や蓄電装置を製造していることもあって、CO2の削減目標を達成できません。したがって、CO2の排出権を購入させられる運命が待っています。輸出で稼いできたお金も、それでパー。 日本は、太陽光発電を推進してきたため、経済的にも損をさせられるのです。


2008年9月1日発行 No.233より

安全基金の活動と考え方(34)「「蘇州パール」を売る理由」

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