代表小若順一が「安全基金の活動と考え方」を月刊誌『食品と暮らしの安全』に連載中!
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「捨てればいい」ではない 安全基金の活動と考え方(125)

食品と暮らしの安全基金代表 小若順一


 ワインや食品の製造販売会社「丹波ワイン」(京都府)は、2013年に、使用が認められていないのにローストビーフに結着剤を使用して販売し、 食品衛生法違反と指摘され、約50kgのローストビーフを回収。保健所に「廃棄する予定」と届けながら、約1割しか処分せず、在庫を含む260kgを冷凍保存。 ワイナリー併設のレストランでは「赤ワイン煮込み」に、イベントでは「牛ロースト丼」として計70kgを販売。 賞味期限を半年以上過ぎていたので、保健所は、改めて廃棄するよう文書で指導したと報道されました。
 さまざまな問題が混ざっているので、整理しましょう。

 まず、誰も異論のない悪い点から。

◇ 食品衛生法で認められていない「結着剤を使ったローストビーフ」を製造販売したこと。
さまざまな肉を結着剤でくっつけて塊にし、表面だけ加熱して食べると、中で菌が繁殖している場合は、食中毒を起こす可能性があります。

◇ 保健所に、回収して処分すると伝えたのに、実際に処分したのは1割ほど。同社は「廃棄する品と他の在庫を混在させてしまった」と釈明していますが、 廃棄する食品を大量に、長期間、冷凍庫に入れていたので、これは明らかなウソ。ペナルティを加えないと、社会が成り立たなくなります。
 まだウソが隠されているかもしれないので、信頼をなくした今回の結着肉は、すべて廃棄するしかありません。
 しかし、結着肉をローストビーフに使えないからと言って、他の目的に使用させずに、即、全量廃棄としたのは、見直すべきです。
 世界には、飢えて苦しむ人がたくさんいるので、日本も、食料を大切にする視点で、違反食品を安全に有効利用する方法を考えるように見直す必要があります。
 問題のあるローストビーフを調理して、500人ほどに食べさせたのに、健康被害の報告がなかったのですから、加熱して食べれば、食品衛生上の問題はありませんでした。
 結着剤を使ったローストビーフと似た商品が「生ハム」です。
 生ハムは、豚の肩肉、ロース肉、もも肉などを整形し、結着剤で固めて調味液に漬けた後、低温で乾燥したもの。薫煙したものもありますが、どれも「非加熱」です。
 本場ヨーロッパの生ハムは、塩と香辛料を用い、長期熟成して製造しますが、 日本の生ハムは、塩分や調味料と、リン酸塩を入れて増量し、促成で造った後、塩抜きしたもの。塩分は半分なのに、それでも商品として成り立つ賞味期限があります。
 賞味期限は、おいしく食べられる時期を示しているだけなので、賞味期限を過ぎた結着肉のローストビーフでも、 菌が増えないうちに冷凍していれば、脂身が酸化したなどの問題がなければ、煮て食べれば食中毒は起きません。

 「問題がある食品は、すべて捨てねばならない」という発想しかできない人が多く、マスコミも画一的にそう報道するので、食品のムダな廃棄は増えるばかり。 違法があれば、違法でなくなるようにして、食品をムダに捨てさせるのをなくす時期に来ています。

2016年5月1日発行 No.325より

安全基金の活動と考え方(126)『「紛争」で、とんでもなく貧しくなる』

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