国際会議
コーデックス基準と私たちの生活
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私たちは日常生活で、知らない間に、コーデックス基準の影響をたくさん受けています。 例えば、食品に表示されている賞味期限や原産地・原産国、有機食品の検査・認証制度なども、コーデックス基準から来ています。

コーデックス基準は、必ず守らなければいけないという拘束力はありませんが、ほとんどの場合、国内の基準は、コーデックス基準に整合化されます。なぜなら、コーデックス基準に従っていない場合、非関税障壁として、貿易相手国からWTOに提訴される可能性があるからです。

遺伝子操作食品の表示に関しても、コーデックスでは現在審議中で、日本政府のほうがコーデックスより、早く表示をすることを決めました。今後、コーデックスで日本の基準よりも厳しいものが決まれば、いずれ日本の基準も厳しいものになるでしょう。反対に、日本の基準よりも甘い基準が決まってしまうと、日本の基準が貿易障壁であるとして提訴されることもあり得ます。国内の基準も、自国の好きなようには決められないのが、WTO体制下の国際社会なのです。  

日本の遺伝子操作食品表示は不十分であるとの声が、多くの消費者からあがっていますが、このような状況を考えると、実現可能な最大限に近い表示案と言えるでしょう。

従って、国内の基準を消費者の健康を守るのに十分な厳しいものにするためには、コーデックスの基準を厳しいものにしなければならないのです。そのため、日本子孫基金では、コーデックスに直接参加し、活動をしています。

この背景にあるのは、WTO(世界貿易機構)の前身であるGATT(貿易と関税に関する一般協定)の下で合意された2つの国際協定、「貿易の技術的障壁に関する協定(TBT協定)」と「衛生及び食物検疫措置の適用に関する協定(SPS協定)」です。これらの協定では、食品の安全性や技術的なことに関する国内基準は、原則として国際基準に整合化することが規定されています。これらの協定に基づき、貿易紛争になれば、WTOの紛争処理パネルで敗訴する可能性が高いので、事実上、各国はコーデックス基準に従わざるをえないのです。


食品貿易に関するWTO提訴の例

焼酎 (提訴国 アメリカ、被提訴国 日本)
日本で焼酎の税率がウイスキーより低いのは、ウイスキーの販売が妨げられるとして提訴された。日本は敗訴。税率の是正で、焼酎の値段が上がり、ウイスキーの値段は下がった。

りんご (提訴国 アメリカ、被提訴国 日本)
日本の検疫制度が厳しすぎるため、りんごが輸出できないとアメリカが提訴。りんごは輸入解禁となった。

牛肉 (提訴国 アメリカ、被提訴 EU)
EUが成長ホルモンを使用した牛肉を輸入禁止しているので、牛肉が輸出できないとアメリカが提訴。EUは敗訴し、アメリカは被害額の1億1600万ドルに見合うだけの報復関税を34品目にかけた。(EUはそれでも、動物やヒトに悪影響が懸念されている成長ホルモンの使用された牛肉を輸入禁止し続けている。食品の安全性を追求しようとしたために、このような目に遭うこともある。自由貿易の名の下に、食品の安全性が無視される、あってはならないケースの一つと言えるだろう。)

WTOについてもっと知りたい人は

市民フォーラム2001編 "WTOが世界を変える?身近な矛盾からグローバル化が見える"定価700円


外務省"WTO新ラウンドに関する現状説明とご意見受付 "

WTOホームページ(英語のみ)


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