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国際会議
コーデックス・第4回バイオテクノロジー応用食品特別部会
(横浜)速報-3月11日-
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本日のまとめ

10:00〜10:40 開会、開会の挨拶など
10:40〜10:40 議事の採択
10:40〜11:00 コーデックス委員会および他の部会からの報告
           バイオテクノロジー応用食品の安全性と栄養面の
              評価についての他の国際機関における検討状況の報告
11:00〜13:00 組換えDNA微生物利用食品の安全性評価の実施に関するガイドライン案
13:00〜15:00 昼食(パラグラフ7についての作業部会)
15:00〜16:55 組換えDNA微生物利用食品の安全性評価の実施に関するガイドライン案の続き
16:55〜17:15 休憩
17:15〜18:30 組換えDNA微生物利用食品の安全性評価の実施に関するガイドライン案の続き
(19:00〜20:30レセプション)

●大きくもめたパラグラフ7

「組換えDNA微生物利用食品の安全性評価の実施に関するガイドライン案」が話し合われたが、本日話し合ったパラグラフの中で、大きな議論が起き、多くの時間が費やされたのは、パラグラフ7である。

パラグラフ7は、安全性評価を行う際の、conventional counterpart(従来の比較対象物・組換えていない微生物)との比較について述べている部分だ。「食品に利用された組換え微生物をconventional counterpartと比較し、もしも安全だと判断されれば、その食品もヒトの健康には害がないと判断される」というような意味の文章が[ ]書きで含まれていた。この文章を消すか残すかを巡り、大きな議論があった。消すと主張したのは、イタリア、フランス、イラン、メキシコ、スペイン、南アフリカ。NGOであるグリーンピースや49thパラレルとともに、IACFOもこれを支持。一方残すと主張したのは、アメリカ、カナダ、ベルギー、ギリシャ、ブラジル、日本、オーストラリア。両者まったく譲らず、消す、消さないの議論がしばらく続いた。そこで、イランが昼食の時間中に作業部会を開き、妥協案をまとめることを提案。昼食の時間に作業部会が開かれた。

作業部会でできあがってきた妥協案には「比較の結果が満足のいくものであれば(satisfactory)、組換え微生物を利用して作られた食品はconventional counterpartを利用して作られた食品と同程度安全だと判断されてもよい」という文章が入っていた。satisfactory(満足のいく)とはどういう意味なのか、はっきりしない。それにパラグラフ7はあくまでも安全性評価を行う上でのアプローチの仕方を記すべき部分で、「○○○なら△△△」という結論を記すべきところではない。この文章を残すか消すかで、また議論になった。そして結局グリーンピースなどのNGOやフランス、イギリス、オランダが主張した「消す」ことで合意した。

●変わらない対立構図

過去3回のバイオ特別部会において、アメリカやカナダなど遺伝子組換え作物の主要生産国と、その輸入国であるEU諸国は、対立してきた。今回の会議でもその対立の構造は変わっていない。EUの中でも特に活躍が目立つのはフランスだ。議事や各国の発言がほとんど英語で行われ(もちろんフランス語の同時通訳もあるが)、アメリカやカナダにきわめて有利な状況になっているものの、フランスは時には慣れない英語を駆使しながらも、意見を粘り強く主張し、決して諦めない姿勢が感じられた。

●インターネット中継が大好評

日本子孫基金は、世界初のNGOによるコーデックスのインターネット中継を本日、スムーズに行うことができた。主要新聞に掲載されたことに加え、電子メールによる告知を行ったため、会議が始まる前から、各国のコーデックス参加者には広く知られていた 。会場でお知らせを配布しようとすると、 「もう、知っているよ。家族と友達に見るように言って来た」と多くの人に言われた。「同僚には見るように行って来たけど、ボスには言うのをやめた。何で、あのとき発言 しなかったんだ、、、と後で怒られると困るからね、、、、」と言う人もいて、インターネット中継の影響を改めて感じた。

今回、急な体調不良のために会場に来ることのできなかった、コーデックス事務局のランデル博士(ミスター・コーデックスと呼ばれるコーデックスのなかで最も有名な博士)も 「残念ながら出席できないから、インターネット中継を見るよ」と言っていたとのこと。ミスターコーデックスに私たちのインターネット中継を見てもらえることは、大きな喜びでもあり、光栄だ。コーデックス事務局にも、インターネット中継の意義が充分伝わったと考えて良いだろう。

議事を始める前のWHOのヨルゲン・シュルンツ博士のスピーチでも「この会議は大変関心の集まっている会議であり、今回はインターネット中継も行われると聞いています」と紹介された。

私たちも議事が始まる前に、発言をする機会をもらい、次のように述べた。「会場の皆様に、IACFO(国際食品消費者機構)のメンバーである日本子孫基金が、日本政府の許可を得て、この会議のインターネット中継を行っていることをお知らせいたします。このインターネット中継を行うにあたって、厚生労働省のご協力に、深い感謝の念を表し たいと思います。コーデックスに興味のある多くの人が、十分な資金がないために参加ができないで居ます。私どもはこのような人たちがこのインターネット中継を見たり、 聞いたりすることを望んでいます。インターネット中継は、コーデックスの透明性と情報開示を推進する優れた方法の一つです。私たちは全てのコーデックス会議が放映され るようになることを望んでいます。そうすれば、もっと多くの人が、コーデックス会議 に興味を持つことができるようになるでしょう。インターネット中継は、http://tabemono.info/から見ることができます。みなさんのお国にいらっしゃるご同僚、ご家族、ご友人にお知らせしたい方は、テーブルにご用意しましたパンフレットをごらんになってください。」

会議の後に行われたレセプションでも、多くの人に、「インターネット中継は、とてもよいアイディアだ」「NGOが中継をしてしまうなんで、すごい」 などどお褒めの言葉をいただいた。 しかし、以下の様な声も寄せられた。「出席者は見れないのが残念、、、会場の外にでも中継の様子を流してほしい」 (回答:会場に電話回線を確保してもらうことができなかったため、できなかった。)「帰ってからもう一度見れないの?」 (回答:通訳に版権が生じるため、ライブでの使用しかできない。)「後ろにカメラがあるから、議長団以外は、後ろ姿になってしまうのが残念ね」 (回答:前にカメラをおくことは許可されなかった。)

ともあれ、第1日目、無事にインターネット中継を世界に向けて行えたことは、大きな成果であった。


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