国際会議
コーデックス・バイオテクノロジー・食品の安全性に関する国際シンポジウム
特別部会 速報-3月15日-
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今日の更新予定

14:00、19:00、23:00
会議の延期状況により、更新の時間を変更する可能性があります。あらかじめご了承ください。

・・・・明日は会議はありません。・・・・
何か新しい情報が入り次第報告する予定ですが、会議内容の速報はありません。あしからず。

 

午前の会議の様子(9:00〜12:00)

3月15日午前中のセッションは、この特別部会で議論すべき項目について、昨日、各国から出された意見をもとに事務局が作成した表の検討から議事が再開された。この表は、項目の箇条書きだけではなく、コーデックスの各部会や生物多様性条約(バイオセイフティ議定書)で既に取り扱われているものを示したもの。この特別部会が期限付きのものであり、他の部会との作業の重複を避けるべき、という昨日の議論を踏まえて作成された。 これに対し、アメリカが、「各国レベルで取り扱うべきもの」「専門家委員会で取り扱うべき項目」など、分類を細分化した表を提示し、それ以降は、アメリカ作成の表をもとに議論が行われた。また、実質的な作業を行うワーキング・グループを設置することが前提として示唆されながら議論が進んだ。

争点の一つは、追跡可能性(traceability)について。追跡可能性とは、栽培ほ場から、収穫後の取扱い、加工、販売まで、食品の栽培・製造・流通のすべての過程を特定できること、あるいは、そのシステムのことを指しており、分別や表示のためにも不可欠なものである。

ECがこの特別部会で議論すべき事項の一つ、と主張したのに対し、アメリカが各国レベルで対応すべきもの、と反論した。フランスが、「追跡可能性は消費者への情報提供という点からよりも、むしろ貿易の円滑化のために必要。貿易上の国際的な問題。」と反撃。ポルトガル、イタリアなど、ヨーロッパ各国がこれを支持した。

そこで、アメリカが「追跡可能性」という用語や概念は新しいもので、不明確な部分があるので、ヨーロッパの国など関心のある国が来年の会合に向け、ディスカッション・ペーパーを作成してはどうか、と提案。日本、中国、デンマークなどがこれを支持したが、イタリアやノルウェーなどが、来年まで持ち越しするのではなく、ワーキング・グループを設置して、はやく議論すべきものだと主張。これに加えCIが「追跡可能性」は食品安全管理上、これまでも存在した概念であることを指摘した。また、IACFO(日本子孫基金熊沢)が、「遺伝子操作食品は既に市場に出まわっており、長期的な影響のモニタリングのためにも、追跡可能性は重要なもの、また疫学的な調査を将来的にするためにも、追跡可能性の考え方はかかせないものである」と発言した。

このほか、午前中のセッションでは、安全性評価やリスク管理、その他の透明性や消費者の参加など、この特別部会で優先的に取り扱うべき事項について、昨日よりも、焦点がまとまりつつある。この後の午後のセッションでは、項目の特定が行われると同時に、ワーキンググループの設置やディスカッション・ペーパーの提出を求める事項についても、決定されることが予想される。

会議場にて(IACFOメンバー)

 

午後の会議の様子(2:00〜16:40)

ワーキング・グループが設置される

午後のセッションの前半で、コーデックス事務局のランデル博士のまとめと提案を各国が支持し、2つのワーキング・グループ(作業部会)が作られることになった。次回の会合 までの間に、これらのワーキンググループで、原則やガイドラインの草案作成など、実質的な作業が行われる。ワーキンググループには、参加を希望する加盟国およびオブザーバーが参加でき、IACFOも消費者NGOとして参加することになった。 なお、午前中も争点となっていた追跡可能性については、早急に検討が必要な事項だというフランス、イタリアが再び議論を蒸し返したが、概念自体が新しく、何を意味しているのか等不明な点が多いというアメリカ等の主張が優勢となり、ディスカッションペーパーを待って、検討することとなった。

今回設置されたワーキング・グループ

1.検査方法に関するワーキング・グループ(議長:ドイツ)
現在採用されている検査方法について情報収集を行い、それぞれについて調査および評価を行う。

暫定的スケジュール
情報収集およびその配布を事前に行った上で、次回特別部会(2001年3月)の直前に行う。

2.安全性・栄養評価の原則およびガイドラインに関するワーキング・グループ(議長:日本)
@ バイオテクノロジー応用食品の安全性・栄養評価やリスク管理、科学に基づく意志決 定、透明性、市場流通前の評価、市場流通後のモニタリングなど、広範、横断的な原則の作成。(なお、追跡可能性については、カッコ付きで検討内容に加えるが、コンセンサスが得られていないので、ディスカッションペーパーの提出を求め、それを受けて議論する。)
A 安全性・栄養評価の具体的なガイドラインの作成。これには、実質的同等性、長期的な健康への影響、予期せざる影響、などが含まれる。

なお、2のワーキンググループの暫定的なスケジュールとして、日本の提案は 第一回会合:今年6月末から7月始めにかけて開催の予定。この会合までに、第一次草案を作成し、第一回会合での議論により、第二次草案を作成する。
第二次会合:今年11月ごろを予定。第二次草案に寄せられたコメントも勘案し、この会合で第三次草案を作成し、全ての加盟国に送付し、コメントを求める。

次回の特別部会は、2001年3月、日本において開催予定。

 休憩時間に交渉しあう政府代表

 

2日間の議論を終えて

初めての(第一回目の)会議の初日ということもあって、昨日はどの政府代表も相手の出方を伺いながら、少しずつ自分達の考え、要望を述べていた。今日は、会議の雰囲気をつかんだのか、各国政府代表、オブザーバーが、ストレートに意見を出していた。

明日は調整日となっていて、会議(議論)は行われない。議長とコーデックス事務局が2日間の議論の議事録を作成する。

議事録は、あさって17日午前に出てくるのだが、2日間の議論がきちんと表現されたものになっているかに注目しなくてはならない。話し合った内容が、特にtraceability(追跡可能性)、実質的同等、消費者の参加、など今後の話し合いを大きく左右することとなる議題について各国やオブザーバーが述べた意見が、間違いや誤解がなく、また省かれることなく、きちんと表記されているか、チェックする必要がある。

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