国際会議
コーデックス・バイオテクノロジー・食品の安全性に関する国際シンポジウム
特別部会 速報-3月14日-
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おしらせ
会議の終了予定時刻に合わせて、更新時間を変更させていただきます。

今日の更新予定

14:30、23:00

なお、会議の延長などにともない、更新時間をさらに変更する可能性もあります。あらかじめご了承ください。

明日の更新予定は14:00、19:00、23:00です。


午前中の会議の様子(10:00〜13:00)

コーデックス事務局によると、今回の参加者は、36ヶ国、19NGOからおよそ300人に及ぶ。(参加者リストを数えたところによると、35政府(157名)、7国際政府組織(15人)、15NGO(56人)の合計228名 ほかFAO3人、WHO5人)

日本の消費者団体として唯一、公式オブザーバーとして特別部会に参加できる日本子孫基金は、IACFO(食品国際消費者機構)として参加。

IACFOの参加者は以下のとおり。

日本子孫基金より

神山美智子(代表運営委員)、小若順一(事務局長)、熊澤夏子(国際担当)、遠藤諭子(国際担当)、滝瀬香織(国際担当)、丸田晴江、高橋信子

イギリス(サステインより)  ジャネット・ロングフィールド

韓国(韓国消費者連盟より)  鄭光謨、李香基

(◇会場となる国際会議場までの道のりには、コーデックスNGOフォーラムが日本の消費者は「遺伝子操作食品はいらない」と考えていることなどを伝えるために、チョウなどの衣装を着て、コーデックス参加者にアピールした。遺伝子組み換えフリーの原材料で作ったクッキーも配られ、好評だった。◇国際会議場に入ると、これまで参加したどのコーデックス会議よりもセキュリティーチェックが厳しく、金属探知器も用意されていて驚いた。昨年WTOシアトル会議で過激なデモ運動があり、軍が出動する事態となったことを踏まえてのようだ。今だかつてないセキュリティーチェックの厳しさに、各国代表も驚いていた。)

■午前 10時 予定通り特別部会が開始された。

議長は日本政府から依頼された国立国際医療センター所長 吉倉廣氏。英語、フランス語に堪能で、議題をとてもうまくすすめていた。

議長の他、舞台上にあがっているのは以下の通り。

WHO Dr.Jorgen Schulundt
コーデックス委員会議長 トーマス・ビリー氏
FAO Dr. Hartwig de Haen
FAO 田端マコト氏 (食品基準専門官)
WHO サハラ ヤスユキ氏 (食品安全科学プログラム)
厚生省 宮川昭二氏(コーデックス日本事務局)
また、厚生省のハケタシンゴ氏がホスト国として挨拶を行った。

<議題1>議題の採択

議題に入る前に、アメリカより、このような特別部会のホストを日本がつとめたことに対し感謝の念を述べる発言がされた。

■午前11時  議題は変更のないまま採択された

<議題2> >

この特別部会に関連する、コーデックスのその他の部会からの書類が確認された。

<議題3>バイオテクノロジー応用食品の安全性と栄養面の評価についての国際機関における検討状況の報告 >

事前に配布されている以下の国際機関で行われているバイオテクノロジー食品に関する検討事項の書類の説明が行われた。

国連食糧農業機関(FAO) 世界保健機関(WHO) 世界貿易機関(WTO) 国連工業開発機関(UNIDO) 国際遺伝子工学バイオテクノロジーセンター(ICGB) 経済協力開発機構(OECD) 国連環境計画(CBD) 国際動物疫病会議(OIE)

フランス政府から

FAOおよびWHOの専門部会について「どのように専門家が選ばれているのか」「専門部会ではどのような範囲で話しあわれているか」が質問され、このような専門部会の「透明性」を高めることが提案された。

これに対し、

WHO・FAOは、現在どのように透明性を高めていくかを検討中であるとの回答があった。専門家の選択の際には、選択するための基準や選択した専門家のリストを加盟国に回覧し、コメントを求めたり、加盟国に専門家を推薦してもらうことなどが、現在もすでに一部行われており、今後もこのようなシステムを整えていきたいと述べた。

またCI は、専門家の選択などをする際には、NGOを含むすべての利害関係者に選択基準やリストを回覧することを求めた。コーデックス事務局もこれに合意した。

また、タイ政府から

WHO・FAOによる途上国への援助について質問があった。バイオテクノロジーの分野は重要なだけに、途上国に教育や技術援助の必要があることが強調された。

これに対し、FAOはそのような援助の準備はあることが回答された。

・生物多様性条約・

この会議のために準備された文書、「遺伝子操作食品の安全性と栄養面に関する他の国際機関でのとりきめ」(Agenda Item3 Add)は、今年1月に決まった、生物多様性条約の「バイオセーフティーに関するカルタヘナ議定書」についてふれている。内容は、議定書の要旨を短くまとめたものであるが、使っている言葉、言いまわしが、議定書とは全く違うため、誤解を生むものとなっている。

例えば、「輸出の際の輸入国の事前合意は、種子など環境に意図的に放出するものにのみ必要である」と書いてあり、その他の、食用や飼料用、加工用の遺伝子操作生物については全くふれていない。

カルタヘナ議定書は、その他の、食用や飼料用、加工用の遺伝子操作生物についても事前に輸入国の許可がないと輸出できないことを明記しているが、コーデックスの書類だけを見た場合、食用や飼料用、加工用の遺伝子操作生物には、許可が必要でないような印象を受ける文書となっている。

他にも、予防原則や、議定書と他の国際的な取り決め(WTOなど)との関係の記述にも、誤解を生む表現が使われている。

私達IACFOは、この文書の問題点を指摘し、変更を求めた。

イタリアが私達を支持。またコーデックス事務局のアラン・ランデル氏は「文書が間違っているかどうか、ということではなく、解釈の仕方によって受ける印象が変わる、という話だと思う。文書を書き直すのではなく、カルタヘナ議定書をそのまま載せればよいのではないか」とアドバイス。

IACFOの要請が通り、バイアスのかかった文書ではなく、議定書そのものがコーデックスの公式文書として使われることになった。

<議題4> バイオテクノロジー応用食品の基準、ガイドラインその他の原則の検討(1)

議論の範囲、 議論の優先順位

吉倉議長から、できるだけ多くの政府および組織の意見を聞くため、発言を5分以内1回にすることが提案された。アメリカが2分以内2回にすることを提案。その他の国にも合意され、発言を2分以内にとどめることが合意され、各国からの意見が述べられることとなった。

午前中の議題ついての発言のメモ

<議論の範囲は安全性・栄養のみに絞るべき>

ブラジル、アメリカ、オーストラリア、イギリス

<安全性・栄養面だけでなく、その他の合法的な要因、宗教・倫理・環境なども話しあわれるべき>

EU、CI、フランス、イタリア、オランダ、ドイツ、マレーシア、スウェーデン、ノルウェー

アメリカが植物、微生物、動物の順番で話しあわれるべきと発言し、これを日本、スイスなどが賛成。カナダは動物の遺伝子操作についても検討の必要性を強調した。

オランダーーー特別部会にリスク評価の専門委員会をつくるべき、国際貿易・通商に関する問題を取り上げるべき、また遺伝子操作に関連する用語の定義づけが必要との発言がタイなど多くの国からあげられた。

 


会議の行われている幕張メッセ国際会議場

 

午後の会議の様子(15:00〜18:00)

■15:00〜午前中からの引き続きとして各国・組織が意見を述べた。

<安全性・栄養面だけでなく、その他の合法的な要因、宗教・倫理・環境なども話しあわれるべき> ベルギー、スペイン、デンマーク、フィンランド

<議論の範囲は安全性・栄養面にのみ絞るべき> 中国

デンマーク 追跡可能性(tracability:遺伝子操作されたものを含む食品を生産・加工・流通・消費の過程すべてにおいてきちんと追跡をすることができるか)、モニタリングについても話しあうべき

IACFOの発言

遺伝子操作食品に関する議論は、専門家だけでなく、消費者を含めた利害関係者すべてが関わることが重要である。また、この作業部会では、モニタリング、追跡可能性についても話しあう必要がある。追跡可能性の問題は、安全性評価とも大きく関連があり、また今後、遺伝子操作食品の疫学的調査を行うにおいても、重要な概念となってくる。 この特別部会は宗教的考慮、環境への影響など合法的な要因に関しても広く話しあうべきである。また、実質的同等の概念の再検討も必要である。
(解説:IACFOは、表示は消費者に選択の自由を与える他にも、将来的に疫学的調査を行うためのベースとなると考えている。例えば、たばこと肺ガンの関係が明らかになったのも、喫煙する人としない人がいたからである。同じように、遺伝子操作食品の安全性を長期的に調べるには、長期にわたって遺伝子操作食品を食べた人と食べなかった人との比較調査が必要である。このような疫学的調査は、包括的な表示がされ、消費者が自分自身、遺伝子操作食品を食べているのかがきちんとわかっていなければ行えない。このことは遺伝子操作食品がどこへいったのかという「追跡可能性」の重要性とも重なる。表示は、このような意味で、安全性評価にも大きく関わってくる。IACFOの意見書はCX/FBT 00/4 CRD8としてコーデックス事務局より配布)

そのほか、Greenpeace International, WBA(世界獣医医学学会),CRN,IUBSなどが発言を行った。

■午後3:30頃、ひととおり各国・組織からの発言が終わり、議長からのまとめがあった後、第2ラウンドに突入。また、議長がまとめた、現在話しあうことが提案されているもののリストが配布された。

1. 議論の範囲
モダンバイオテクノロジー
安全と栄養面の評価
国際的な専門家会議
分析方法
食品表示
食品義務表示
科学に基づいた意志決定
予防原則 予防的アプローチ
販売前許可制度
その他の合法的要因
  倫理的配慮
  宗教的考慮
  文化的考慮
  食糧保障
  施行制度の限界
  食糧の多様性
  環境リスク
透明性
  消費者の参加
モニタリング
長期的な健康影響
追跡可能性
マーカー遺伝子
消費者への情報
消費者の懸念
消費者の利益・選択
国際貿易の促進
リスク管理のガイドライン
リスクに関する情報伝達(リスクコミュニケーション)


2. カギとなる原則、概念、定義
実質的同等
モダンバイオテクノロジー
リコンビナントDNA技術
遺伝子操作体
ファミリアリティー(熟知しているということ)

3. 食品カテゴリー
食品
 植物由来
 微生物
 動物由来
食品添加物
飼料

このリストに基づき、各国が意見を述べた。このリストのうち、他の国際機関、コーデックスの他の部会がおこなっていることは、明記され、明日の議論のために配布される予定である。事務局から、「その他の合法的な要因」「予防原則」については現在コーデックスの一般原則部会で話しあいがされている状態であり、この特別部会でさらなる話し合いは進めるべきではないかもしれないとの示唆があった。明日は、優先順位、カギとなる概念などを話しあうと共に、どのようにこの特別部会を今後進めて行くべきなのかが引き続き討議される予定である。

今日の話し合いで重要と思われる点

・ 生物多様性条約についてはさまざまな解釈がされるが、コーデックスの書類として配布された要約(アメリカ・トーマス・ビリー氏によるもの)ではなく、原文を参照することが確認された点。

・「追跡可能性」の重要性がIACFOを含め、デンマークなど政府からも述べられた点。

 

レセプションの様子(19:00〜21:00)

日本政府主催のレセプションが国際会議場前のホテルで開かれた。各国の代表、オブザーバーNGOが軽食をとりながら歓談。

誰もが、明日はどのような話し合いになるのかわからない、と話していた。バイオテクノロジー応用食品部会は、今後3回開かれることになっているが、まだ、何を話し合う会議にするのか決まっていない。他の部会との兼ね合いも考えながら、扱うトピック、その優先順位などを明日は決めることになるだろう。しかし、会議はゆっくりと進行しており、明日どの程度のことが決まるのかは定かでない。

 

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