国際会議
コーデックス(国際食品規格)
目次 9月7日 9月8日 9月10日

国連のFAO(食糧農業機関)とWHO(世界保健機関)のプログラムであるコーデックス(国際食品規格)委員会の表示部会が、韓国・チェジュ島で9月7−10日に行われています。


オープニングセレモニー

安全基金のスタッフと小若順一(右から2番目)

韓国版に翻訳された「食べるな、危険!」にサイン中です。

興味がある方にはプレゼントしました。

韓国の食品医薬品局長にも韓国版をプレゼントし、ご挨拶

こちらが、韓国版の「食べるな、危険!」 です。

コーデックス 第14回アジア地域調整部会


2004年9月7日



●コーデックス委員会 第14回アジア地域調整部会●
2004年9月7日ー10日(韓国・済州島)

コーデックス委員会のアジア地域のメンバーで構成されているアジア地域 調整部会が、韓国の済州島で開催されています。

食品と暮らしの安全基金は、IACFO(食品国際消費者機構)のメンバーと して事務局長の小若、スタッフの熊澤、野田、フリッドの4人が参加しています。

●ジンセン(いわゆる高麗人参)

本日の争点は、「ジンセン(いわゆる高麗人参)」。韓国政府が中心にな り、「ジンセン(Ginseng)」のコーデックス規格が話し合われました。話 し合いの結果、いくつかの変更がされたものの、大枠では韓国の素案が合 意され、コーデックスの規格作成の8ステップのうち、ステップ5にすす めることとなりました。

私たちは、高麗人参を使った商品のなかには、放射線照射がされているも のがあること(イギリス政府の調査によるもの。
詳細はhttp://www.foodstandards.gov.uk)、
私たちはこのような商品を許容できないと考えていること、しかしながら、 実際に市場に出回っていることから、このような商品は「この商品は放射 線照射されています」などと適切に表示されるべきであることを主張しま した。

放射線照射されている食品はすべて表示すべきであることは、すでにコー デックス規格となっていることから、あえて、文書を付け加えるにはいた りませんでしたが、放射線照射の問題を提起できたことは、大きな意味が あったと考えています。

●トレーサビリティ

また、「トレーサビリティ」に関して、短い意見交換がされました。

インド、タイなどが、途上国では、「トレーサビリティを整えることは困 難である。野菜など第一次産物は、除外すべきだ。」との考えを主張。

日本政府は、「BSEの問題を考えても、第一次産物にトレーサビリティ を整えることは必要」と述べました。

私たちも、「トレーサビリティはBSE対策として重要性を増している。 また、このような、食品の安全性だけでなく、消費者のために情報を提供 するという意味でも、トレーサビリティは必要である。第一次産物を除外 すべきでないという日本の立場を支持する。」と述べました。

アジアの発展途上国は、トレーサビリティを行うと経済的な負担が大きく なることを、かなり懸念しており、日本・韓国など先進国vs発展途上国 という構造ができてしまうことは、避けるべきです。

今後、トレーサビリティに関しても、日本が積極的に情報を出すなど、途 上国への協力をしていくことが重要です。また、国際機関には、さまざま な発展途上国でのキャパシティ・ビルディングを助けるための基金などが あるので、このようなものを利用して、トレーサビリティに関する理解を 深めていく必要を感じます。

●9月6日 FAO・WHOワークショップ 機能性食品:安全性と規制

9月6日には、この開催に先駆けて、WHO(世界保健機構)、FAO (食糧農業機関)、ILSI(国際生命科学協会)による、「機能性食品 ワークショップ」が行われました。

アジアには、高麗人参、納豆、味噌など、食品でありながら健康を保つた めに有用な機能を持つ、いわゆる「機能性食品」が、長い間消費されてき ました。しかし、「機能性食品」の国際的な定義はなく、国によって、サ プリメント、栄養強化食品、伝統的食品を機能性食品と考えています。ま た、漢方薬との違いも、定義がないため、混乱の理由のひとつです。

そこで、このワークショップでは、アメリカ、EU、日本、韓国、オース トラリア、タイ、インドネシアが、それぞれの国における状況を説明し、0 理解を深めました。

日本は、厚生労働省の梅田珠実氏が「特定保健用食品」について説明。 とても分かりやすい説明であった上に、「特定保健用食品」の制度は、 「機能性食品」という言葉は法的には使われていないものの、いわゆる 「機能性食品」に関して、唯一、法制度を持つ国として、注目が集まり ました。

ワークショップは、意見交換の場であるため、特に結論が出たわけでは ありませんが、各国の機能性食品に関する考え方の違いが明らかになり ました。特に、欧米とアジアでは、機能性食品に関する考え方が、明ら かに違います。一般的に、欧米は、栄養を添加したり、遺伝子操作をし たりして、新しい食品を作ることを考えており、アジアでは伝統的に民 間療法などで使用されてきた食べ物を想定しています。この違いは、か なり大きく、将来的に、コーデックスで機能性食品の規格を作るとした ら、大きな物議をかもすことと予想されます。

(報告者:熊澤 夏子)


*今回は、英語による報告も行っています。英語の情報が見たい方はこ ちらからどうぞ。

http://tabemono.info/english/index.html

 



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