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●こうして農薬はまかれた

月刊誌『食品と暮らしの安全』2002年8月発行 160号記事より

実情の一端が見えてきた!!

田畑を車でまわると、梅雨の晴れ間をぬって農作業をする姿をあちこちで見かけました。
草をとり、農薬をまく人たち。
驚いたのは、水田で農薬をまく人たちが、みな裸足だったことです。
農薬の毒性に認識があるとは、とうてい思えない作業風景です。
モデル田らしい、「農業領導工程示範区 建設目標 農田標準化、耕作機械化、農芸科学化・・・」と書かれた看板の奥に広がる水田からは、息苦しくなるほど農薬臭が漂ってきます。
2001年、中国の品質監督検査検疫総局が全国23の中・大都市で野菜卸市場の抜き取り調査を行ない、その結果、47.5%の野菜の農薬残留量が基準を上回っていたと発表。
2002年7月には、北京市衛生局が、市場で販売している果物12種と野菜50種類について有機リン系農薬の残留を検査したところ、ニラ、カリフラワー、レタス、春菊、ニンニクの芽、大根、ネギなどから基準を超えて検出された・・・と人民日報が報道しています。
日本では、中国からの輸入食品の残留農薬が問題になっていますが、一番深刻なのは毎日食べている中国の人たちです。
スーパーで野菜などの食材や日用品を見て歩いた時に、「除菌・清除残留農薬」と書かれた台所用洗剤を見つけました。
このような表示があることで、いかに市民が農薬残留を心配しているか、よくわかります。
しかし、合成洗剤の危険性は、まだ中国では知られていないのでしょう。
訪れた無錫、蘇州、上海などの街でスーパーも寄るたび洗剤をチェックしたところ、「残留農薬が落とせる」との表示は、販売品の7〜8割にありました。

安全性向上には時間がかかる

水田や畑のほとんどは、幹線道路から入ったあまり広くない道の両側に面して広がっていることが多く、その道はそのまま農家の庭先にたどりついて、行き止まりのことがほとんどです。
そのため、うさんくさそうな目で見られながら、農家の庭先からいつもUターンせざるをえませんでした。
江蘇省に広い畑はないようでした。
日本の都市郊外に広がる畑の方がよほど広かったと思うほど。幹線道路に近い畑は工場用地として買収されていました。
蘇州から上海への列車の窓から見渡しても、水田は広がっているものの、畑地はわずか。場所を取らずに高価値を生む野菜ハウス群も、農家だけが行き来できる畦道の奥です。
収穫物の搬出に時間がかかるので、ポストハーベスト農薬が使用される可能性もあります。
中国農業省は、2005年までには現在の残留農薬基準が国際基準に見合うものになっているだろうと述べています(7/3人民日報)
中国の農産物が安全になるまでには、まだ時間がかかりそうです。

レポート『心を蝕む有機リン農薬』

『中国ギョーザから農薬』について小若順一がメディアでコメント

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