外壁は耐久性に優れた建材(ガリバリウム)

外壁は、トタン板に似たガルバリウム鋼板を使用しています。
これは、アルミを含有した亜鉛合金でメッキ処理したもの。
トタンの3〜6倍の耐久性です。
完成後の維持費を下げることを考慮しました。

建物全景
建物全景

●耐久性は3倍以上
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シンプルで直線的な外観は、木の香りとぬくもりのある室内とは対照的です。
安普請に見える外壁は、「ガルバリウム鋼板」。トタンと同じような小波板(細かな波をうったような形)。細かな波状にすることにより、曲がったり折れにくくなります。見た目はトタンにそっくりです。
ガルバリウム鋼板は、アルミ55%、亜鉛43.4%、シリコン1.6%が含まれています。耐食性・耐熱性・加工性・熱反射性に優れた鋼板です。トタンに比べて3〜6倍の耐久性があります。
塩害にも強いし、小さな傷であれば自己修復作用により自然に修復されてしまい、きちんとした施工をすれば「40〜50年持つ」と設計士の相根昭典さんは言います。
また、ふつう外壁はひび割れたりしますが、ガルバリウムではそのような心配は基本的にありません。
波状の板を縦に張り合わせることにより縦方向に小さな溝ができ、雨がすぐに流れます。表面もなめらかなので雨によって汚れも流されます。
太陽光の反射率が高いことも特徴のひとつ。熱く焼けないので冷房効果も高まります。さらにガルバリウム鋼板の内側には、
10mmの空間を確保。ここに空気の流れができ、熱を内部に伝えません。夏の熱も冬の冷気も、この空気層によって軽減。さらに内側には厚いウール断熱材がありますから、木造としては相当な断熱効果です。
軽量で取り扱いが楽なのも、メリットの一つでしょう。


軒先

上:軒は一般的に木の部分が露出する。
しかし、雨が当たるところは金属で覆った。
下:急ピッチで進む内装工事

内装工事
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●補修コストまで考えて

事務所建設の基本的な考えとして、人が居住する大切な部分には優れた素材と工法を採用してコストをかけ、他の部分でコスト削減を図りました。
構造自体が1階から3階までまっすぐでシンプル。デザイン性を強調した複雑なスタイルに比べ、建材が少なくてすみます。これによって、コストを下げるようにしています。
内壁に使用した「貝てきパウダー」も、長期的にみて低コストといえるでしょう。これは、捨てられるはずの貝殻を利用した塗料で、再利用のメリットがあるほか、塗り替えるときのことも考慮しました。
建物完成後、長い時間が経てば部分的に内壁塗料がはがれることもあるでしょう。貝てきパウダーでは、補修する場合でも古いものをはがす必要がなく、上塗りできるからです。
外壁補修も考慮しなければなりません。建物は手入れが必要ですが、塗り壁の場合、新事務所の規模だと、塗り替え時に何百万円レベルの費用がかかってしまいます。その点、ガルバリウムなら安心です。
ただし、見かけはガルバリウムでも、アルミ含有率が極端に低い(5.5%というのもあるらしい)製品もあり、耐久性を考えてガルバリウムを採用したのに、10年も経たないうちにサビてしまった例も報告されているので、注意が必要です。

●重要な部分は惜しみなく

反対に、普通の木造建築より、お金をかけている部分もあります。たとえば、コンクリートの基礎。水分が少なく石のように硬いことに加え、幅20cmにボルトを2列に並べるなど、4〜5階建のビルのような頑丈さです。
また断熱性と通気性を考慮した10cm厚の天然ウール断熱材は、断熱効果や壁内や内壁の湿気を減らす効果がありますが、平均的なグラスウール製に比べ約6倍の価格です。断熱材は後でやり直すことが難しいので、充分に素材を吟味しました。
つまり、後から変更がきかない大切な部分を重視して資金を投入し、ガルバリウムの外壁や貝てきパウダー、シンプル構造による建材の少なさなどで、節約するという形でバランスをとっています。
節約といっても、たとえばガルバリウムは経済性より性能を重視しており、破格に安いわけではありません。メンテナンス費用を抑えることでバランスをとろうというわけです。メンテナンス費用の軽減は、後々になって、かなり効いてくるはずです。

林克明(ライター)

2007年8月1日発行 No.220より

本物のエコロジー建築とは?(221号)>>

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