地盤調査で弱い地層が見つかる

地盤調査
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小若編集長念願の新事務所の計画が実現へ向かって動き始めました。
予定では、鉄筋コンクリート造3階建てで各階の広さは20坪。建物もこのくらいの規模になると、地盤の良い所でないと建てることができません。
そこで地盤が建物の重さに耐えられるかどうかを調べることになります。このことを専門用語で「ボーリング」、または「地盤調査」と言います。
7月25日、朝9時からボーリングが始まりました。
三脚やぐらを立て、これを使って鉄管を立て、重りを使って鉄管を打ち込み、鉄管が地中に沈んでいく様子を観察して地盤の強さを判断する資料とします。
写真はその時の様子です。重りを使い、鉄管を打ち込んでいるところです。
鉄管の太さ、打ち込みに使う重りの重さ、重りを落下させる高さ等には取り決めがあり、鉄管が重りに打たれて30cm沈むまでその打たれた回数は何回か、この回数が地盤の強さを判断する一つの目安になり、多いほど地盤は固いと判断されます。
そして、1mのところで鉄管の中に詰まった泥を取り出し、標本として保存し、地盤の判断の資料にします。
次に、2m、3m、4m、と段々深くまで標本を取っていきます。
このようにして調べたところ、地面から深さ2〜3mの付近は典型的な関東ロームの赤土で、これならば3階建てくらいには耐えられる地盤だと期待したのもつかの間、穴を4m付近まで掘り下げたところ穴の中に水が浸み出てきました。
そう言えば以前に井戸があった土地なので、ここに水を含んだ層があることは納得できました。
4mのところで鉄管を打ち込んだところ1回で30cm沈んでしまいました。引き上げて鉄管の中を調べるとカーキ色の柔らかい粘土です。ここから約80cm下まで同様でした。
これでは鉄筋コンクリート3階建ての建物を関東ロームの地盤の上に造ったとしても、その地盤ともども沈下に見舞われることになるでしょう。
5m付近からは打ち込み回数6回、灰色の固く締まった粘土に変わり、6m付近からは打ち込み回数が20回を超える固い砂の層に変わりました。穴の中の水が砂に吸い取られていきました。砂が乾いているからなのですが、これとは反対に水が噴出すこともあるのです。
9m付近で砂はさらに固くなり、打ち込みには30回以上を数えました。夕方までかかり15mの深さまでボーリングをしましたが打ち込みは同様に30回を超え、固い砂が続いていました。
地盤の様子がわかったところで7月31日午後、関係者が集まり、すでに設計されている基盤(土台)を検討したところ、鉄筋コンクリート3階建てでは地中9m付近からの固い地盤まで届く杭を打ち込んで土台を支えないことには危険な建物になってしまうとの結論が出されました。
リポート:山賀康弘(1級建築士)

●木造に変更〜省エネは難しかった〜

安全基金は外断熱の普及キャンペーンを行ったので、鉄筋コンクリートの本格外断熱ビルと木造を組み合わせた事務所を目指しました。
しかし、予算不足で難航。そこへ地盤の強度不足で、杭を打つ費用が300万〜400万円ほど余分にかかることになり、やむを得ず木造3階建てに変更しました。
鉄筋コンクリートを考えていたときに、屋上緑化や地下室なども検討しましたが、省エネにならないことがわかりました。
ともかくコストがかかるのです。屋上を緑化するには建物の強度を上げねばならないので、鉄筋もコンクリートも余分に使います。地下室も、土を掘り出して移動させるコストがかかります。
冷暖房費は節約できても、最初の投入コストを20年では回収できません。最終的にお金の収支が合わないことは、省エネになっていないことを意味します。
屋上緑化は、東京のように異常気象が起こっているところでは意味がありますが、地方都市ではビルの魅力が増すだけの意味しかありません。
木造にしたので屋上緑化はやめ、夏だけ壁面をヘチマで覆うことにしました。
(小若)

【土地を買う前に地盤強度を調べよう】

建物を建てる地盤が弱ければ、杭打ちなどで補強が必要になり、多額の費用がかかることになります。しかし、ほとんどが購入後にしか調査できません。地盤の補強が必要かどうかは重要なのに、わからないまま購入せざるを得ないのです。
そんなとき相談に乗ってくれるのが「環境アセスメントセンター」※です。国土地理院の持っている地盤データによって、住所を連絡しておけば、大まかな返答をもらえます。
206号に会長の塩坂邦雄さんのインタビュー記事を掲載した後、相談した読者の方が何人かいます。中には、購入予定のマンションが、非常に地盤が悪いことが購入前に判明し、買うのを止めた例もありました。
安全基金の場合、「大丈夫」の返事を貰いましたが、水脈のある弱い地盤があり、外断熱の頑丈な重い建物を建てるには、杭が必要になったのです。
※ 相談を受けたい方はTEL054-255-3650へ。
その後FAXで相談内容を送ります。それを元に電話で診断結果を伝えてもらえます。
相談料は1回10,000円。

地盤調査に関して
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2006年9月1日発行 No.209より

基本設計が決まる(212号)>>

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